2013年度 森泰吉郎記念研究振興基金 成果報告書

研究課題名:TVを対象とした双方向ソーシャルメディア編成システム

中野理穂
学籍番号:81324882
ログイン名:nrihos
政策・メディア研究科 修士課程1年
所属プログラム: CI


研究要旨

本研究は, TVやラジオのような, 意味的に分割されたコンテンツが時系列順に並んでいる, ”構造的ストリームメディア”と, Social Network Services (SNS)やGIS センシングデータのような, コンテンツを意味的に分割・配列することが困難な, “非構造的ストリームメディア”を対象とし, それらを時間軸に沿って関連づけることにより, 動的に変化する関係性に応じた, ストリームメディアのデータ抽出を実現するものである.

本研究の目的は, 構造的ストリームメディアのコンテンツの時間的変化に応じて, 非構造的ストリームメディアの特徴を抽出し, 比較することにより, コンテンツの意味的構造やデータ型が異なるストリームメディアのデータ間の暗黙的な関連性を明らかにすることにある.
本研究の特徴は, 分析対象であるストリームデータに対して, 時間やトピック, 空間といった複数のフィルタを適応することにより, 非構造的ストリームメディアにおける, 文脈の曖昧さやノイズを除去する点である. このフィルタは, 特定の時間,特定のメディア間において, 関連の低い特徴を表すデータセットを省いてメタデータを抽出する. これにより, ストリームメディアのデータの特徴の変化を捉え, 時間に応じて変化するデータの関係を追跡することが可能となる.

活動・成果報告

春学期は,主に学会のための資料作成および学会における研究発表やワークショップの参加といった,定式化の作業を行った.
秋学期は,上記学会・ワークショップ,またOpen Research Forum(ORF)に参加した際に国内外の研究者や企業の方から頂いたアドバイスを反映し,本研究を発展させたものとして,以下のシステムの開発に従事した.

・ストーリー性を有するメディアである動画を対象として,利用者によって投稿された,動画に関するマルチメディアデータを専門知識を有さない利用者に,直感的かつ多角的に提供するためのシステム


具体的に,本研究では動画の内容に応じて,投稿されたデータの分析のための意味空間を生成することにより,投稿データの動画における潜在的な意味の近さを考慮した検索エンジンを構築する.
本研究では,ユーストリームの動画やTV番組といった,ライブで提供される動画ではなく,事前にウェブ上に投稿された動画を対象とする.そのため,利用者が其々異なるタイミングで行う動画の視聴,関連情 報の投稿,検索の処理を前提としている.
また,投稿されるデータに関して,今年度はマルチメディアの中でもPDFやウェブサイトの文書といっ たテキストを対象として分析手法の検討を行った.
今後の計画としては,提案する意味検索エンジンのプロトタイプ実装を示すとともに,10人の被験者を対象とした評価実験により,本方式の有効性,および,実現可能性を明らかにする.具体的には,5人の被験者は,歴史ドキュメンタリーの動画を視聴し,URLや文書を投稿する. 残り5人の被験者は,同様の動画を視聴しながら,本検索エンジンと既存の検索エンジンを其々別々に 利用する. その際,満足のいく検索結果を取得するまでの時間と,満足度を使用検索エンジンごとに計測し,比較 する.

学会発表等

今年度,以下の学会において研究発表を行った.

・ICIW2013(The Eighth International Conference on Internet and Web Applications and Services) イタリア・ローマ 2013年6月23〜28日


また,以下のワークショップに参加,研究の発表を行った.

・iDB Workshop 2013 (The 5th International Workshop with Mentors on Databases, Web and Information Management for Young Researchers) 北海道 2013年 7月20〜22日



研究発表の様子


発表テーマ

StreamQuilt: A Timeline-Aware Integration of Heterogeneous Web Streams

論文・発表概要

This paper proposes a timeline-aware integration system for web streams, such as micro-blogs and real-time information. This system, called StreamQuilt, analyzes implicit and temporal context-dependent relationship among heterogeneous media streams on the web. Our concept is to capture features from a media stream according to its temporal status and relationships to other streams. This system assigns different features to the stream at the different time. This system provides a synchronized streams association mechanism generate a new stream by evaluating the implicit relevance between heterogeneous streams along a timeline. This mechanism utilizes a sequence of data filters to be applied to different filters to streams. Each filter removes contextual ambiguity and various noises from media streams. This approach is advantageous in providing new information by detecting implicit relationships, such as cause-effect relationship and provider-consumer relationship, among web streams. Our system is applicable to mobile advertisement, participatory entertainment systems, and sentiment analysis of social networking services.