2013年度森基金 研究成果報告書
蛍光顕微鏡を用いた細胞の情報処理機構の高精度観察
政策・メディア研究科 修士課程2年
新土優樹


研究内容
ERK (extracellular signal-regulated kinase) は最も有名なMAPKの1つであり,そのダイナミックな活性化パターンは,増殖や分化などの細胞運命を制御することが知られている.増殖因子刺激はRaf/MEK/ERKカスケードの活性化を引き起こし,活性化されたERKは核内に移動することで,さらに下流の転写因子へと伝わる.しかしながら,これまでERKの核移行ダイナミクスを1細胞レベルで詳細に解析した研究は存在していなかった.そこで本研究では,EGFPを融合させたERK2(EGFP-ERK2)を安定発現するPC12細胞を用い,生きた細胞内におけるEGFP-ERK2の細胞内局在を共焦点レーザー顕微鏡により可視化計測した.そして,増殖因子刺激に対するERKの核移行ダイナミクスを1細胞レベルの解像度で定量的に計測することに成功した.

本研究は理化学研究所との共同研究のため、図表および詳細な説明は控えさせていただきます。


助成期間中の研究成果

学会発表(筆頭著者のみ)
Yuki Shindo, Kazunari Iwamoto, Kayo Hibino, Kazunari Mouri, Yasushi Sako, Koichi Takahashi.
Quantitative analysis of signal transduction dynamics between Raf and ERK in living single PC12 cells. BSJ2013, Kyoto, Japan (Oct. 28-30, 2013)