2013年度 森泰吉郎記念研究振興基金 研究成果報告書

 

政策・メディア研究科 修士2(HC)

鈴木 梨沙

 

研究課題名

外国語学習における語彙知識構築メカニズムに関する研究

 

研究概要

 認知心理学では人間の言語活動を情報処理活動の一つとして捉えており、その情報処理活動を通じて脳内に蓄積・表現されている語彙情報の集合体であるメンタルレキシコン(心的辞書)という概念がある。メンタルレキシコン内では意味的関連性をもとに語彙ネットワーク構造が形成されるという、活性化拡散モデルが提唱されており、本研究ではそのモデルに基づいて外国語学習における語彙知識構築メカニズムを解明することを目的とする。初級の外国語学習者の語彙学習過程を単語マップによって可視化し、学習に合わせて学びがどのように変化するのか、そのメカニズムを明らかにするため、実験的研究を行う。

 

 

研究成果

 今年度は、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスのドイツ語履修者を対象にして、ドイツ語単語マップ作成課題を行った。具体的には、8名の学生を対象に、マップのテーマ(中心となる概念)が提示された実験用アプリケーションを用いて、時間内に単語マップを作成する課題を行った。原則1週間に1回、約2ヶ月間行い、被験者一人当たり計5~7個のマップデータを収集した。また、実験後には、作成したマップデータをもとにしたインタビュー調査と、外国語学習についてのインタビュー調査を行い、学習者の外国語学習スタイルと連動させた形でドイツ語の語彙ネットワークについて調査した。その結果、学習過程におけるドイツ語語彙ネットワークの変化のプロセスと、語彙ネットワークの形成のもとになる語彙項目の記憶のされ方には学習者の個別性が大きく関わっていることが明らかになった。