2014年度 森泰吉郎記念研究振興基金(研究者育成費)研究成果報告書

 

集落再生における自己組織論的手法による実践および多様性モデルの構築

―自律的な古民家運営システムの実践的提案―

 

作成日:2015227

政策・メディア研究科

修士課程1年

81424926 水嶋晋治

 

1研究概要

 近年都心部への人口集中と全国規模の人口減少から、過疎地域においては、今後とも人口減少・高齢化の継続的な進行が危惧されており、地方自治の観点から自律的な地域社会の維持・形成の仕組みづくりが必要である。地域活性化のためには地域内外の交流人口の減少は軽視できないが、資金不足や古民家活用の推進体制の不足などの問題、移住者の受入れ体制の不十分さが古民家を 積極的に活用しにくい状況に拍車をかけている。そのため本研究では、限られた人材資源と資金の中で、地域社会が自律的に実現可能な運営システムを構築する。地域活性化の手法として古民家の空き家を活用した移住者の受入システムを構築し、地域資源の活用による産業の復興をも試みるものである。また田根地区での問題を典型的な過疎集落での問題と捉え、他の集落の再生の一助とすることを目的とする。

 

2研究内容

 本研究では、過疎地域における新規移住者を促進させる仕組みを機能させるために、古民家の運用システムを構築し、他の集落での転用を担える多様性モデルの構築を目的とする。農村コミュニティーの根強い地域として近畿圏の滋賀県をモデルケースとし、今まで移住者を受け入れてこなかった原因を分析し、受入側、移住側の双方の視点より地域移住のシステムを構築する。さらに地域資源を活用した合板の実用化を視野に入れた、古民家の改修や住居の設計、また家具作りなどによる地域産業の復興を試みる。したがって本研究は、余所者の受入れ体制と産業の創出による2つの軸からの地域の自律的システムを構築し、構成要素の普遍解を求めることを目的とするものである。

 集落という社会的統一性をもった共同体の中で生活やコミュニティーが円滑に行われるために、地域住民同士が扶助し合いながら生活の維持や向上を図ることが必要である。地域活性化を行うためには、地域内における産学官の連携は必須であるが、地域と外部組織の連携は今後重要な要素となってくる。地域外からの人材の獲得、新規訪問者、リピーターの創出、地域への新しい刺激などは外部組織との連携により得られる利益であり、そのために、地域が自己組織として研究の対象から外れた後にも運営可能な自律システムの構築と外部との持続的なネットワークの構築を長期スパンで考えなければならない。本研究では、地域活性化事業の構築を含めた古民家改修による移住者の獲得を目的とし、自律的な地域への第一歩を後押しするものである。したがって、本研究は凡用性の高い計画であるため、限界集落問題に留まらず、首都圏への一極集中問題、地域主幹産業の衰退、地域内外の交流人口の減少までの解決の一助となりうる。

 

2014年度の具体的な活動は以下の4点である。

1地域産材の創出

2地域自治組織の運営補助と古民家の権利委託

3若者のまちづくりへの参入

4地域の拠点の創出

 

以上の4点の研究活動から、地域の自律的運営システムを構築する上で課題の発見とまちづくりの土台の構築を行った。

 

以下に活動で作成した資料を載せる。説明: Macintosh HD:Users:shinji:Desktop:田根合板.jpg

 

 

説明: Macintosh HD:Users:shinji:Desktop:厠1.png説明: Macintosh HD:Users:shinji:Desktop:厠2.png説明: Macintosh HD:Users:shinji:Desktop:厠3.png説明: Macintosh HD:Users:shinji:Desktop:厠4.png説明: Macintosh HD:Users:shinji:Desktop:厠5.png説明: Macintosh HD:Users:shinji:Desktop:厠6.png

説明: Macintosh HD:Users:shinji:Desktop:高校生WS1.png説明: Macintosh HD:Users:shinji:Desktop:高校生WS2.png説明: Macintosh HD:Users:shinji:Desktop:高校生WS3.png説明: Macintosh HD:Users:shinji:Desktop:高校生WS4.png説明: Macintosh HD:Users:shinji:Desktop:田舎フェスタ.png

 

 

 

 

3今後の課題

 本研究では研究敷地以外での実地調査、文献調査を重ねることにより、他の過疎地域においても移住者の受け入れを図ることのできる普遍的なシステムの構築を目指す。移住者に関しては、ローコストやライフスタイルの適合による過疎地域への人口流入を図ることにより、また滞在者に関しても国内全土、国外からの持続的な人口流動性が見込めうる。さらに、地方間の資材や流通システム、移住者の受け入れのネットワークを形成することで、地域同士が相互扶助の関係になり得ると考えられ、自律的に運営可能な地域モデルの確立が期待できる。長浜市役所や他の地域とも連携をとる事により、システムの多様性が見込まれるだけではなく、地域間の情報の共有化が可能であり、被災時など非常の場合に早急な被災者の受け入れや資材の提供するシステムを構築することを今後の課題とする。