2015年度森泰吉郎記念研究振興資金 研究者育成費(博士)報告書

 

研究題目:留学生の日本企業における人材活用に関する研究

氏名:投石真義

所属:政策・メディア研究科後期博士課程1年

 

概要

 日本国内において増加の一途を辿る留学生の進路として、日本企業への就職を選択する場合が増加している。しかしながら、現状では日本における旧来の就職活動のシステムに留学生が同化せざるを得ない状況となっており、採用側、被採用者の双方にとって適応に困難を生じる可能性がある。本研究では、海外展開を行うグローバル企業や今後日本国外への進出を計画している企業において、留学生を採用する際に最適なマッチングを行う際の要因・条件を明らかにし、日本国内における今後の留学生の採用・人材活用にどのような可能性及びリスクがあるのかを明らかにする。

 


1.背景

 日本政府は2008年、日本への留学生を当14万人から2020年までに30万人にやす「留学生30万人画」を表し、今後留学生の数は増加の一途を辿ることが予想される。日本学生支援機構の調査「外国人留学生進路等状況」によると、大学の学部または大学院の修士課程を卒修了し日本企へ就した留学生は,2004年の3669人から2007年の6764人へと加しており、厚生省の統計においては日本でく外国人者の数は年々え、201310月末の次点で71.5万人となっている。土井(2009)においては留学生自身の学力や対応力に加えて,日本の複雑な就プロセスや日本企の留学生にする用方法などに問題があることが指摘されており、留学生が増加する社会背景に対して、また日本国内における就職を希望する留学生の数に対して、国内の受け皿の整備が追いついていない[1]。日本発の企業においても、ユニクロや楽天、リクルートやパナソニックが外国人人材の採用活用に積極的に取り組んでいることが報道されている一方で、その取り組みが同業他社へ広く波及するには至っていない。

 

2.日本国内における留学生採用の現状

 現状では、守屋(2012)の指摘にあるように日本企業は外国人留学生を採用するに

あたって「日本人化」した外国人留学生を採用する傾向にあると考えられる[2]。

 

3.外国における外国人労働と教育の国際化

 米国における外国人労働者の状況については、Moretti(2012)において今や修士号や博士号の保有率はアメリカで生まれた人々よりも移民の方が高く、博士号を持つ外国人が最も活発に独創的な研究や特許を生み出している[3]と述べられており、日本国内との乖離が窺える。また、英国Times社の発表するTimes Higher Education 世界大学学術ランキング(2015年)[4]においては、日本国内では東京大学が43位、京都大学が88位に位置するが、留学生比率はそれぞれ10%、7%と上位10大学の全てが20%を超える事実と比較すると高くはないことが窺える(表1)。さらに、日本の大学は全体的に前年度[5]と比較して順位が低下している(表2)。しかしながら、政府が発表した「留学生30万人画」に対応するためには、単に留学生数を増やすのみならず、高等教育おいても国際化への対応が求められる。

 またMoretti(2012)ではドイツのベルリンへフランス、スペイン、イタリアから大学教育を受けた若者が毎年何千人も移り住み、食文化や芸術、公共サービスが充実したヨーロッパでも抜きん出て創造的な都市であると形容する一方で、ドイツ国内で最も失業率が高い事実を挙げ、移住者のための雇用や経済的基盤を構築することの重要性を指摘している[3]。総じて、域内の移住が盛んなヨーロッパであるが、人種や経済的な課題が存在し、外国人労働者を受け入れる際には国による法の整備、また政策的な支援が重要である。

 

4.本年度のまとめと今後の方向性

 本研究の進行にあたり留学生の就職活動における実態はもちろんのこと、企業の動向と外国人人材の活用のための展望、政府の施作や計画の調査が必要とされる。さらに、諸外国と日本における就職活動の差異を明確にするためには、国内の現制度やその歴史、実態の調査も必要である。さらにJETプログラム、JASSO、日本語学校などへのアプローチを行い、データの拡充を図りたい。日本は歴史上、進んで移民を受け入れてきた国家ではないため、留学生にとって生活や就職関連の情報はもちろんのこと、VISA、金融(銀行)システム、国の政策など留学の入り口から教育機関の卒業、外国人の就労について纏まった情報を提供するリソースが少ないことが実情である。今後は日本のそれらのデータと諸外国における差異を諸分野において比較し日本における外国人労働者のロールモデルを追求したうえで、焦点を定めるポイントについて考察・絞って進めていきたい。

 

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図1 就業に影響を与える要因

 

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図2 留学生の就業要因における相対重要度の仮説



 

図3 日本国内における留学生の就職活動における現状と課題

図4 日本国の政策と現状の課題


 

参考文献

1)      Doi, Y. (2009), “Research report on job hunt support project for international students: questionnaire to firms on "international student recruitment"”, Journal of the Education Center for International Students, Nagoya University. v.7, pp.13-20

2)      Moriya, T. (2012). “An Examination of the Employment of Foreigners, such as International Students, in Japanese Companies”, The Japanese journal of labour studies (623), pp.29-36.

3)      Moretti, E. (2012). The new geography of jobs. Houghton Mifflin Harcourt.

4)      Times Higher Education World University Rankings 2015-2016 (https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/2016/world-ranking#!/page/0/length/25)

5)      Times Higher Education World University Rankings 2014-2015 (https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/2015/world-ranking#!/page/0/length/25)



(表 12015年度世界大学学術ランキングにおける上位10大学と日本の上位2大学

World University Ranking (Times Higher Education) 2015-2016 より筆者作成

順位(2015-2016)

大学名

国名

留学生比率

1

California Institute of Technology

United States of America

27%

2

University of Oxford

United Kingdom

34%

3

Stanford University

United States of America

22%

4

University of Cambridge

United Kingdom

34%

5

Massachusetts Institute of Technology

United States of America

33%

6

Harvard University

United States of America

25%

7

Princeton University

United States of America

27%

8

Imperial College London

United Kingdom

51%

9

Swiss Federal Institute of Technology Zurich

Switzerland

37%

10

University of Chicago

United States of America

21%

43

The University of Tokyo

Japan

10%

88

Kyoto University

Japan

7%

 

(表 22014年度世界大学学術ランキングにおける上位10大学と日本の上位2大学

World University Ranking (Times Higher Education) 2014-2015 より筆者作成

順位(2014-2015)

大学名

国名

留学生比率

1

California Institute of Technology

United States of America

27%

2

Harvard University

United States of America

25%

3

University of Oxford

United Kingdom

34%

4

Stanford University

United States of America

22%

5

University of Cambridge

United Kingdom

34%

6

Massachusetts Institute of Technology

United States of America

33%

7

Princeton University

United States of America

27%

8

University of California, Berkley

United States of America

15%

9

Imperial College London

United Kingdom

51%

9

Yale University

United States of America

20%

23

The University of Tokyo

Japan

10%

59

Kyoto University

Japan

7%

Addition

順位(2015-2016)

大学名

国名

留学生比率

401-500

University of Tsukuba

Japan

16%

501-600

Keio University

Japan

5%

601-800

Waseda University

Japan

8%