2016年度 森基金研究成果報告書

高度オイル産生微細藻類の油滴形成時における主要代謝産物の比較解析

生命情報科学(BI)
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
修士課程2年 川﨑悠里子
Login ID: yuriko78 Student ID: 81524359

要旨

Chlorococcum oleofaciens は,窒素栄養欠乏下において細胞の大部分を油滴が占めた状態になる高度オイル産生微細藻類である.さらに,細胞が脂質を蓄積しながら肥大化する現象が確認されている.そのため,この種の代謝調査により,未だ解明されない藻類の成長と脂質蓄積を両立する代謝機構について明らかにできると期待される. また,現在研究が進んでいる他のオイル産生微細藻類において,多量の脂質を蓄積させるための技術の開発に繋がることも期待される.そこで,本研究ではC. oleofaciens を含む高度オイル産生微細藻類が,多量の脂質を蓄積する際の代謝物の変動を調査した.C. oleofaciens と近縁で脂質の少ない種と,系統的に離れた高度オイル産生微細藻類の代謝物変動を比較に用い,それぞれ脂質量や系統の違いによる代謝物の変動の違いも調査した.C. oleofaciens と,系統分類によって選出した2 種について,窒素栄養欠乏下における培養細胞を経時的にサンプリングし,水溶性物質について,キャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析計を用いて測定し,変動を比較した.その結果,高度オイル産生微細藻類特有の代謝物の挙動を見出すことが出来た.

※本報告書はWebで公開されるため、詳細なデータは省略して記載させていただきます.

森泰吉郎記念研究振興基金は,膨大なメタボロームデータの保存に必要な機器や,培養に使う器具の費用としても使用させて頂きました。ありがとうございました。