2007年度プロジェクト補助(秋)報告書

 

研究代表者:慶應義塾大学看護医療学部准教授 宮川祥子

 

共同研究者:

看護医療学部准教授 増田真也

看護医療学部准教授 安田恵美子

環境情報学部教授 濱田庸子

 

【研究背景・目的】

本研究の目的は、慶應義塾における研究者特有のワークライフバランスの課題とニーズを明らかにすることである。その上で、大学としてどのようなワークライフバランス施策が有効であるかを検討し、計画を策定し、外部資金を獲得して計画を実行することを目標としている。本研究の成果が外部資金獲得につながり、慶應義塾にワークライフバランス施策を導入することが可能になれば、出産・介護等のライフイベントと研究の両立が可能となり、このようなライフイベントによって研究を中断する研究者が減少することが期待される。さらに、これまで進学を躊躇していた人材も研究者として大学院に呼び込むことが可能となる。その結果、これまで「マイノリティ」であった、育児・介護経験を持つ研究者が増加し、より多様な視点からの研究が実施されることが期待できる。これは、将来的な慶應義塾の競争力の強化にもつながっていくと考えられる。

 

ワークライフバランスとは、年齢、人種、性別にかかわらず、誰もが仕事とそれ以外の責任・要求とをうまく調和できる生活リズムを見つけられるよう就業形態を調整することである。この考え方の特徴は、所定労働時間の短縮や年次有給休暇の増加等、すべての従業員に一律に適用される制度ではなく、個々人のニーズに沿った施策を導入するところにある。現在の日本では、仕事の現場が家庭との両立を支援するものになっているとは言い難い。たとえば結婚前に就業していた女性のうち、結婚後5年未満で子供を持つ人の就労の割合は18.6%で、正規雇用に限ると11.0%にまで落ち込んでいる。妊娠・出産・育児に伴うワークライフバランスを推進するための施策として、育児休業制度や短時間勤務制度の整備がこれまで実施されているが、このデータは多くの職場でこれらの制度が効果的に実施されていないことを示している。さらに、大学等、研究者が所属するアカデミックな組織においても、これらの施策が効果的に実施されているとは言いがたい点がある。具体的には、下記のような問題点があり、これによって主として若手の女性研究者がキャリアを断念するケースがすでに存在している。

 

1) 単年度で契約を更新される有期の研究者が育児休業を取得することは困難である。

2) 継続的な研究を実施している場合、特に外部の企業や団体等と共同研究を行っている場合には、育児休業中期間中もある程度のコミットメントが求められる。

 

さらに、上の項目は大学院生にも当てはまるが、育児休業等各種の制度は就労者を対象にしているため、「就労していない」大学院生は制度の恩恵にあずかれない。また、同じく「就労していない」という理由で保育園の入園も不利になる(優先順位が低くなる)。その一方で、研究室等のアカデミックな組織内では、フォーマルに、あるいはインフォーマルに研究プロジェクトへの「継続的な貢献」を求められ、研究と家庭のバランスをとることには相当の困難がある。

 

特に、経済的基盤の確立していない大学院生は、研究への継続的なコミットメントを求められ、また本人がそれを望んでいる場合でも、妊娠・出産に伴う経済的な負担の増加と将来のキャリアへの不安、また家族等周囲の理解と協力が得られないことにより、博士課程への進学を躊躇したり中断するというケースも見られる。このような不安は、実際に妊娠・出産に遭遇していない学生であっても感じているケースもある。さらに、看護系の修士課程・博士課程は、数年の臨床経験を経てから進学するのが一般的であるが、この時期は大学卒の看護師の場合、26歳〜30歳とちょうど結婚や妊娠・出産の時期と重なるため、上記のような問題が起こりやすいといえる。

 

このような問題は、出産・育児だけでなく、介護・看護といった他のライフイベントのケースでもみられる。家族の看護や介護が必要になると、介護保険を利用するような状況か否かにかかわらず、家庭内で労働リソース、経済リソースが不足する状態が起こりやすくなる。その結果女性や比較的時間があると捉えられやすい大学院生がその担い手として期待されることになり、彼らのキャリア継続が困難になる。こうした事態は、今後の一層の少子化の進行によって、男女を問わず増加していくものと思われる。生涯に渡るワークライフバランスの実現には、個々人のライフイベントを踏まえニーズに対応した施策が必要不可欠である。

 

なお組織心理学では、仕事と家庭の両立が難しく、どちらか一方の要求がもう一方における達成を阻害する状況をワーク・ファミリー・コンフリクトと呼ぶ。ワーク・ファミリー・コンフリクトは女性に多いが、男性にも見られる。またワーク・ファミリー・コンフリクトの結果として、仕事のストレスが家庭に害を及ぼしたり、メンタルヘルスが悪化したりするだけでなく、逆に家庭生活の状況悪化が仕事のパフォーマンスの低下を招くことも知られている。したがってアカデミックな環境におけるワークライフバランスの悪化は、研究者(教員・学生)本人だけの問題ではなく、大学としてのより高度なアウトプットという観点からも損失を招くものであるといえる。

 

 

【研究内容】

 

I) 慶應義塾の女性研究者の現状に関する調査

慶應義塾大学の女性研究者の現状について、概要を把握するための調査を行った。

2007年度の慶應義塾大学における女性専任教員の割合は13.6%、女性有期教員の割合は33.6%、全体では2068人中390名で18.9%となっており、2004年の15.3%と比較すると増加傾向にあるといえる。女性専任教員の割合に関しては、この3年間で大きな変化は見られないが、女性有期教員に関しては、2004年の23.2%と比較して大きく伸びている。

学部ごとにみると、看護医療学部が73.3%と高い他は、文学部(20.2%)、経済学部(20.5%)、法学部(18.1%)、商学部(25.0%)、医学部(9.5%)、理工学部(4.2%)、総合政策学部(14.0%)、環境情報学部(13.0%)となっており、看護医療学部を除いては医学部、理工学部、環境情報学部、総合政策学部といった、医学系・理工学系・複合領域系の学部において目立って少ないのが現状である。

他方で、将来の研究者を育成する大学院においては、女子の進学率が増加している。博士課程における女子学生数は、2000年度には243名であったのが、2004年度には262名、2007年度には279名と増加の一途をたどっている。2007年度の博士課程学生における女子の割合は理工学研究科11.4%、医学研究科30.3%、環境情報学部・総合政策学部と同じ湘南藤沢キャンパスにある政策・メディア研究科では23.8%であり、前述した教員における女性の割合と大きく乖離しているという現状がある。

 

II) ワークライフバランスへのニーズを持つ人へのインタビュー調査

20071月から2月にかけて、大学内でワークライフバランスに関するニーズを持つ人に対してインタビュー調査を行った。インタビュー対象は、有期教員女性4名(退職者含む)、大学院生女性1名、学部生男性1名、職員女性3名、高校非常勤講師女性1名であった。ワークライフバランスを崩す出来事について、妊娠・出産・育児で感じた困難について、制度・環境への要望等について、半構造インタビューを実施した。その結果、下記の項目がワークライフバランスを阻害する要因であることが明らかになった。

1) 有期教員に対して育児休業制度が整備されていないこと

2) 学生は保育園入園に際して優先順位が低く子どもを預けにくいこと

3) 公立・私立を含め一般的な保育園のシステムが大学教員・研究者の業務形態とマッチしておらず、夜間・休日の預け先に困ること

4) 保育園に預けられない休日の学部業務についての配慮が不十分であること

5) 妊娠中・出産後とも、授業・実習等の学部業務の量が減らないこと

 

 

III) 大学におけるワークライフバランス施策の構築

IおよびIIの調査を元に、慶應義塾で実施すべきワークライフバランス施策の一貫として、女性研究者支援策の構築を行った。具体的な支援策は下記の通りである。

【推進体制の整備】

1. 男女共同参画ワーキンググループの設置

計画を推進するために、慶應義塾大学の各キャンパス・学部の教職員で構成される「男女共同参画ワーキンググループ」を設置し、全学的合意形成を図りながら行動計画の策定、推進、評価を行う。

2. 勤務制度整備

教員に対して、時短労働に相当するワークロードの削減制度を整備する。また、ワークロード削減勤務や育児休業を取得した際にそれまでその研究者が担当していた仕事をサポートするためのティーチングアシスタント(TA)等の代替要員の配置を支援する制度を整備し、助教等の若手女性研究者が周囲に気兼ねすることなく勤務の削減、育児休業を取得できる環境を整備する。

3. ITを活用した情報支援環境の整備

情報提供に必要となるデータベース、各キャンパスや研究室で孤立しがちな育児・介護中の女性研究者がネットワークを介してつながることのできるコミュニケーションシステム、研究打ち合わせ等を遠隔で実施できるためのTV会議システムを整備する。

4. 施設整備

キャンパスに女性研究者が子どもを連れてくることができるよう、授乳・おむつ替えのためのスペースや子どもと一緒に入れるトイレ等の施設整備を行う。女性研究者が子どもを連れて相談を受けることができるような、安全に配慮した相談室・資料室を整備する。

5. 地域連携体制の構築

質の高い継続的な支援を行うため、地域の保育園やNPO、社会福祉法人等と連携し、保育支援のためのトレーニングプログラムの開発や人材育成を行う。

 

【育児支援】

1. 保育支援

女性研究者が、必要なときに保育支援を受けることのできる体制を整備する。育児に関心のある学生・地域ボランティア・教職員等に対して保育トレーニングを実施し、学内の施設を活用した短時間の預かり保育など柔軟性の高い保育支援を提供する。また、通常の保育支援に加えて病児の保育も実施する。この支援の実現のために、トレーニングプログラムの開発と保育人材バンクを設立する。

2. 情報支援

キャンパス周辺および近隣地域の保育・介護リソースに関する情報提供を行う。公立・民間の保育園、託児室、ベビーシッター、ファミリーサポート、病児保育、各種介護、家事支援等を実施する団体に関する情報を収集し、必要とされるサービスを閲覧・検索できる環境を実現する。また、緊急時や学会参加に際して保育・介護サービスが必要となった研究者に対して、このデータベースを活用した相談・アレンジメントサービスを提供する。さらに、育児・介護を経験した女性研究者がどのようにキャリアパスを構築したか、どんなときにどのようなサービスを必要としていたか/利用したかをケースとして記述・蓄積し、女性研究者が育児・介護と研究を両立した生活を具体的にイメージでき、それに対する備えをするための情報を提供する。

 

【エンパワーメント支援】

1. キャリア開発支援

女性研究者がワークライフバランスとキャリア構築に関するカウンセリングを受けることのできる相談窓口を設置する。また、慶應義塾大学のOB/OG会である三田会と連携して、特に理工系の博士課程学生、学位(博士)取得直後の若手研究者に対して研究者としての自分の適性・可能性の発見を支援し、また企業に対しては女性研究者の積極的な登用を支援するためのインターン制度を構築する。

2. ネットワーキング支援

育児・介護等のライフイベントに遭遇した女性研究者を中心として、過去にそれらのライフイベントを経験した女性研究者、将来の研究と生活の両立に悩んでいる女性研究者によるコミュニティを形成する。このコミュニティは、孤立しがちな女性研究者がお互いを支援し、同じ立場で悩みの相談や情報交換、コミュニケーションのできる場として機能する。コミュニティの形成には、SNS(ソーシャルネットワークサービス)等のネットワークシステムを活用する。

3. 次世代育成支援

付属中等部・高等部と連携し、女子学生がキャリア構築および仕事と生活の両立について学ぶ機会を提供する。

4. 講演会・シンポジウムの開催

ワークライフバランス、女性研究者のキャリア構築に関する講演会・シンポジウムを開催して、慶應義塾大学の取り組みを広く一般に周知する。また、ワークライフバランスと女性研究者支援に関するパンフレットを作成し、教職員、学生、三田会会員他慶應義塾大学の支援者に対して配布する。この施策を通じて、社会全体に対して女性研究者の育成を呼びかけると同時に、慶應義塾大学の女性研究者育成に対する支援の母体となる広いコミュニティの形成を狙う。

5. 国内・国際連携

慶應義塾大学が連携している国内外の様々な大学との交流を通じて、女性研究者の国際ネットワークを構築する。

 

【研究推進・調査】

1. ワークライフバランス・男女共同参画に関するニーズ調査、プログラム評価

教職員、学生を対象に、女性研究者のキャリア構築に関するニーズ調査および本計画実施後の評価調査を行う。

2. ワークライフバランスに関する研究推進

ワークライフバランスに関連する研究を推進するための環境整備を行う。

 

1 女性研究者を中心とした各支援策の関連図

 

この一連の施策により、以下の効果が期待されると考えられる。

1. 休職による研究・教育活動への影響を最小限に抑えた両立

子を出産した研究者が、慣れない育児の中でフルタイムで復職をすることは容易ではない。一方で、長期の育児休職によって研究に支障が生じるため育児休職を取らずに復帰したり、休職中研究者の業務の代替を周囲の研究者が行うことによる心理的負担感等の理由で、女性研究者が出産前に退職するというケースも見られる。ワークロードの削減と代替要員の配置支援によって、先に挙げた課題を解決し、研究や教育活動への影響を最小限に抑えた育児との両立が可能となる。

2. 博士課程・学位(博士)取得後の女性研究者のエンパワーメント

研究者へのキャリア途上にある修士課程・博士課程・学位(博士)取得後の研究者は就労しているとみなされないため、公立の保育園の利用が難しい(順番待ちの優先順位が最も低くなる)ケースが多く見られる。柔軟な育児支援の提供により、学生であっても必要な時間帯だけ保育支援を受けることができ、経済的な負担を最小限に抑えることができるようになる。このことは、博士課程への進学と結婚・出産の両立に迷い悩んでいる潜在的な女性研究者のエンパワーメントとなる。

3. 社会的啓発

本計画では、慶應義塾大学のOB/OG会である三田会と連携したインターン制度を実施する。この取り組みを通じて、政財界に多くの人材を輩出する三田会に対して慶應義塾大学のワークライフバランス・男女共同参画の取り組みをアピールすることができ、社会的な啓発につながると考えられる。

4. 人材確保による研究の活性化

助教・専任講師・特別研究教員といった若手の研究者が働きやすくなり、優秀な人材を確保することが可能となる。また、出産・育児を理由とする退職が減ることで、教育・研究パフォーマンスの向上が期待できる。さらには、育児や介護を経験した女性等、これまで大学がカバーすることが難しかった層の人材を保持できることは、研究の多様性の維持につながり、研究の活性化が期待できる。

5. 教育面での効果

慶應義塾大学には、医学部、看護医療学部という保健・医療・福祉について学ぶ学部がある。また、日吉、三田、湘南藤沢キャンパスには教職課程を履修している学生がいる。このような学生が育児支援の活動に参画することは、保健・医療・福祉におけるスキル開発・制度設計・運用についての学びを深められる大きな機会となり、また、学生自身のワークライフバランスのあり方やキャリア設計を考える契機になると期待できる。

6. 地域活性化への貢献

慶應義塾大学は、神奈川県・藤沢市および中小企業基盤整備機構と連携して「慶應藤沢イノベーションビレッジ」を設立し、地域住民・地域企業と協働した地域活性化のためのビジネス・インキュベーションを推進してきている。この中には、NPOや社会福祉法人といった、いわゆる「社会的起業」も含まれている。本計画によって、シニアの人材活用のためのNPOや保育施設を経営する社会福祉法人といった地域企業家との連携ができることで、地域の活性化に貢献でき、また、社会的企業とその運営に関するノウハウを蓄積、地域に還元することが可能となる。

7. コミュニティ形成によるソーシャルキャピタルの醸成

本計画では、育児・介護中の女性研究者とそれらを経験した女性研究者、また、将来の仕事と生活の両立に不安を持つ若手研究者によるコミュニティ形成を支援している。このコミュニティでのコミュニケーションが活性化することによって、課題に直面している女性研究者が同じ立場、あるいはかつてそれを経験した立場の研究者からアドバイスや励ましを得られるというだけではなく、支援を受けた研究者が、将来このコミュニティの中で支援を提供する立場となることで、自身の経験を有意義なものとして捉えることにつながり、豊かな関係性に基づくソーシャルキャピタルの醸成と、その作用として支援を提供する女性研究者、支援を活用する女性研究者双方のエンパワーメントを促進することが期待できる。さらに、本計画では、学生教職員・OB/OGを巻き込んだ社中コミュニティ、国内外の大学、地域NPO、未来の女性研究者になりうる中高生等、時間的・空間的広がりを持つコミュニティの形成を推進し、異なる立場の人々の協働を通じた多層的なコミュニティ形成を意図している。このことにより、慶應義塾大学を中心として、多様性を認め合い、新しい価値を創出できる、ソーシャルキャピタルの高い女性研究者支援コミュニティの形成が期待できる。

 

IV) 保育支援に関するフィージビリティスタディ

20084月および20087月に、IIIで示した施策のうち保育支援に関するフィージビリティスタディを行った。看護医療学部で小児ケアに関する講義・実習を受けた学生を模擬保育サポーターとし、教員の子ども4名(20084月現在で14カ月、2歳、42名)に対してそれぞれ3時間の一時保育を実施し、学内で一時保育を安全に実施するにあたって必要となる設備および情報についての検証を行った。第1回目のフィージビリティスタディの結果、1) 月齢や発達段階に応じてスペースをゆるやかに区切ることのできる設備が必要、2) 調乳や哺乳瓶の消毒のできる設備が必要、3) 一時保育実施前に保育サポーターが親と一緒にコミュニケーションをとる時間を持つことで、子どもの安心感が増し、体調等のアセスメントも行うことができるため実施時のリスクを減らすことができる、ということが明らかになった。第2回目のフィージビリティスタディでは、上記1,2の項目を実施できる環境を準備し、一時保育実施前に15分程度保育サポーターと親子が一緒に過ごす時間を持つことで、スムーズな引き渡しができ、保育サポーターと親双方の不安が軽減したというコメントが得られた。

 

V) 保育サポーター養成のためのプログラムの開発

保育支援を実施するに当たって必要となる保育サポーター養成のためのプログラム開発+を行った。保育サポーター養成プログラムは、1) 看護医療学部における小児看護分野の学習カリキュラム、2) 自治体で実施しているファミリーサポートセンターにおける会員向けトレーニングプログラム、3) 認可保育園における運用プログラム、を参考にして構築した。このうち2については町田市ファミリーサポートセンターに、3については社会福祉法人 伸こう福祉会 保育園キディに対してヒアリング調査を行った。

具体的なプログラムの提案内容は下記の通りである。

 内容

講義

実技

保育(一時保育)の役割と保護者との連携

 ・保育制度

 ・一時保育の現状

 ・女性の社会進出と保育・一時保育の役割

 ・保護者との連携のありかた     など

 

子どもの発達の概要

 ・身体的発達の概観(身体発育・運動機能の発達)

 ・生理機能の発達

・心理・社会的発達

*上記については、生後から学童期くらいまでを中心に概説

 

子どもと保護者のコミュニケーション

 ・コミュニケーションスキルの発達的特徴

 ・子どもとのコミュニケーションのありようと工夫

  (子ども同士のかかわりを含める)

子どもの観方

 ・子どもの全身状態の観察の仕方

    (健康状況の把握と異常の早期発見)

感染予防対策(子どもとサポーター)

 ・手洗い、うがい など

 

子どもの年齢に応じた日常生活援助

・抱っこの仕方

・清潔

  衣服の交換、手洗い、うがい、洗面 など

・排泄

  おむつ交換、トイレットトレーニングの実際

・食事

  授乳

  離乳食

  おやつ

*上記については、基本的生活習慣の確立状況・支援に応じた具体的な手順および子どもへの配慮を含める。

 (例:トイレットトレーニング中の失禁についての配慮など)

子どもと遊び

 ・子どもにとっての遊びの意義

 ・個別遊びと集団遊び

 ・遊びのバリエーション など

子どもの事故(安全)と応急手当

 ・起こりやすい事故(発達段階別)と安全対策

 ・擦り傷、打撲、虫刺されなどの具体的対処法

  (事故時のこどもへのかかわり方を含む)

 ・事故が起きた時の対応 など

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2 保育サポーター養成プログラム

 

【まとめ】

本研究の成果により、平成20年度科学技術振興調整費「女性研究者支援モデル育成」において、慶應義塾は「ソーシャルキャピタルを育む女性研究者支援」を提案し、採択された。本計画により、出産・育児を事由とした女性研究者の離職率を抑え、さらに出産・育児と研究の両立に躊躇する博士課程学生等の若手研究者をエンカレッジし、その結果より多くの女性研究者がキャリアを発展させることができるようになると期待できる。また、女性研究者支援コミュニティの形成は、支援を受けた女性研究者による、大学への貢献の基盤ともなり、支援を提供する側・活用する側の双方が誇りと尊厳を持ってそれぞれの業務に取り組むことを促進する。このようなソーシャルキャピタルを育む女性研究者支援モデルは、大学コミュニティや大学-地域連携コミュニティのパフォーマンスを向上させ、女性研究者支援にとどまらない、多様な人材を育成するための総合的なワークライフバランス施策へと発展可能であり、それによりさらなる大学・地域の発展に寄与するものと期待できる。