政策・メディア研究科 修士課程1年 海宝竜也

2014年度 森泰吉郎記念研究振興基金研究者育成費 研究成果報告書

研究課題名:紙の創作活動とペーパーコンピューティングの融合

研究概要
紙はその扱い易さから、IT革命の時代であっても変わらず利用されている。
さらに近年、紙は機能性インクの開発によって電気制御を可能としている。
電子制御による色彩変化機能などの動的表現と扱い易さによって成立している折り紙などの紙の創作活動によって、新たな紙の扱い方を提案する。


研究成果

1.色彩変化機能を持つ創作活動
昨年度まで行っていた色彩変化機能を持つ折り紙の他に今年度は、ちぎり絵、切り絵と電子機能の融合を行った。
紙の特性として『書く』ことができる点があげられる。現在でも紙の素材としての地位を築く上で欠かせない紙を用いた動作である。
しかし紙は、『書く』以外にも『折る』や『ちぎる』、『染める』などの扱い方がある。
これらの扱いを利用した創作活動として折り紙やちぎり絵、切り絵に注目し、電子機能と融合する創作活動とした。
特に『ちぎる』や『切る』行為は通常の電子機器ではまず、行われない動作であるために、電子機能を持つ紙としての素材性が生かされる。
これらの創作活動と電子機能を組み合わせて、創作活動として作り直すことを行った。

2.発香機能を持つ紙
動的な情報を持つことを可能とする電子機能を持つ紙は色彩変化によってさまざまな紙の上での描画を可能としている。
視覚的表現で紙は多くの情報を伝えているが、それだけはなく、紙の質感によって視覚外の情報も伝えている。
その情報の中でも本研究は紙の『匂い』に着目し、紙に発香機能を付加する研究を行った。
実験の結果、香料をマイクロカプセル化したものに、熱による刺激を与えることで紙の中で発香を行うことに成功した。
現在、匂いをよりわかりやすくするために匂いの強さの調整、及びアプリケーションの制作を行っている。

3.今年度の今後の活動
・XD Exhibition 2015での展示(2月28日〜3月1日 二子玉川ライズ)
・情報処理学会へのジャーナルの提出(執筆中)