産官学連携ケーススタディ 『「創発する社会」慶應SFC-DNP創発プロジェクトからのメッセージ』
SFC研究所で行われている産官学連携による様々な研究活動とその成果をケーススタディとしてご紹介いたします。(肩書きは掲載当時のものです)
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『創発する社会』 慶應SFC〜DNP創発プロジェクトからの メッセージ
SFC研究所では、SFCフォーラムによるリサーチ・カンファレンスを通じ、大日本印刷株式会社(DNP)とのコラボレーションプロジェクト「慶應SFC〜DNPセミナー」を立ち上げ、活動を推進しています。今回はこのプロジェクトを中心に、書籍『創発する社会』をご紹介します。
慶應SFC〜DNPセミナー
「慶應SFC〜DNPセミナー」は、「21世紀の知的に活性化された豊かで創発的な社会に貢献する」を経営理念に掲げるDNPと、情報技術や社会科学などの先端かつ学際的な研究を続けるSFCとの、双方の得意分野を生かした共同研究プロジェクトです。社会仮説とテクノロジーの視点から、 多様化する情報コミュニケーションによってもたらされる「創発的社会」の実現に向けた未来ビジョンの探求をテーマとしています。2004年9月から活動を始動し、今後の社会に対して大きな貢献が期待されるSFC若手教員を主なメンバーとして、DNPとの研究者間のコラボレーションやディスカッションを中心に活動を行ってきました。これまでの2年間に及ぶ活動を通じ、双方のプロジェクトメンバーで共有してきた概念をもとに、「創発」のメカニズムとその誘発に関する仮説が立てられました。そして、この度、本プロジェクトを推進してきた結果の中間成果物として、これらの仮説がまとめられた書籍『創発する社会』を刊行するに至りました。
『創発する社会』と題される本書では、「創発」の意味やその可能性についての論説が、今までに論じられてきた仮説を軸として、12人のSFC研究者それぞれの専門分野による観点から展開されています。「創発」は、自然科学の分野では注目されてきた概念ですが、近年、社会がより流動的になってきたことに伴い、社会科学的にも注目されるようになってきました。インターネット技術の普及に伴い、誰でもが情報を発信しうる時代の中で、従来の発想や伝統的手法の見直しを迫られつつあります。「創発」の諸相とその原因について、多面的な検討が加えられている本書には、そんな現代社会に向けたSFCとDNPからのメッセージが込められています。
「創発」という新たな価値観を生み出すことをテーマとしている意味でも、企業と大学という異質な組織文化の接触という意味でも、このプロジェクトそのものが「創発」を生み出す試みであるといえます。「慶應SFC〜DNPセミナー」は、まさに産学連携のひとつのモデルとなっており、その成果は『創発する社会』に結集されています。
『創発する社会』(2006年11月24日発売)
『創発する社会』
編著: 慶應義塾大学SFC研究所所長 國領 二郎
発行: 日経BP企画
構成:
第1部 創発とはどのようなものなのか?
第1章;創発という、怪しくて魅力的な何か(環境情報学部教授 熊坂 賢次)
第2章;創発しようぜ!(総合政策学部教授/SFC研究所所長 國領 二郎)
第3章;創発ウォーミングアップ(政策・メディア研究科助教授 仰木 裕嗣)
第2部 どうすれば創発が生まれるか
第4章;コラボでつくる!(総合政策学部専任講師 井庭 崇)
第5章;ネットはコンテンツを創発させるか(政策・メディア研究科助教授 土屋 大洋)
第6章;創発ベンチャー(看護医療学部助教授 宮川 祥子)
第7章;ふり向けば創発(環境情報学部助教授 加藤 文俊)
第3部 あれも創発、これも創発
第8章;目的は適度にあやふやに(環境情報学部専任講師 脇田 玲)
第9章;生み出せるか、進化する創発のシステム(環境情報学部教授 清木 康)
第10章;絵でコンピュータは動かせるか(環境情報学部助教授 服部 隆志)
第11章;もったいない(政策・メディア研究科講師 南 政樹)
第12章;神様はどこにいるの(環境情報学部教授/政策・メディア研究科委員長 徳田 英幸)
慶應SFC〜DNP合同セミナー対談
→「創発サイト」
SFC Open Research Forum 2006 慶應SFC 〜DNPセミナーセッション『創発する社会』
(終了しました)
- 日時: 11月22日(水) 18:00-19:30
- 場所: 丸ビル 8F Room4
※なお、本セッションにあわせ、丸善丸の内本店および丸ビル店にて、11月22日より『創発する社会』を先行発売いたします。
→「SFC Open Research Forum 2006」ウェブサイト
関連リンク
→「SFC研究所」ウェブサイト「慶應SFC〜DNPセミナー」
→「創発サイト」
→「大日本印刷株式会社」ウェブサイト
(掲載日:2006/11/10)
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