コンピュータによる情報処理をどこで行うかによって、集中処理と分散処理に 分けることができる。1960年代まではコンピュータを単体、あるいは1台のコ ンピュータに複数台の端末を接続して利用する集中処理が一般的であったが、 1970年代以降のコンピュータネットワークの発達や処理能力の向上、コンピュー タの低価格化等に伴い、各地に遍在するコンピュータを通信回線で接続するこ とで資源の共有・共用を図る、分散処理が主流となった。
このような分散処理システムを効果的に構築する方法の一つとして、クライア ントサーバシステムがある[]。ある1つのアプリケーションプログ ラムが、他のアプリケーションが通信を起動するのを受動的に待つという通信 方式をクライアントサーバパラダイムと呼ぶ。通信コンタクトを能動的に起動 するアプリケーションはクライアントと呼ばれ、それを受動的に待つアプリケー ションはサーバと呼ばれる[]。
世界規模の自律分散的ネットワークとして発展しているインターネットである が、そのアプリケーションレベルのサービスにおいてはこのようなクライアン トサーバ型が主流であり、その代表例として挙げられるのがWorld Wide Web(WWW)である。ここでは、WWWを例にクライアントサーバパラダイムに基い た情報サービスを概観する。