WWWは規模の巨大化に伴い、サーチエンジンによる情報の一元的な管理や負荷 の一極集中、役割分担の固定化などによって、集中処理型のサービスへ逆行し ていると言うことができる。本来ならば分散システムを効率良く運用するため の手段であるはずのC/Sシステムであるが、その処理能力が限界を越えた場合、 情報提供サービスとしても問題が発生することになる。
検索の限界の問題は、ユーザには各サーチエンジンが網羅している範囲内にお いて検索をすることが可能であるが、ロボットが収集しきれなかったコンテン ツについては、検索の手段がないことを意味している。つまり、サーチエンジ ンで探し出せないコンテンツは、WWW上に無いのと同じことになる。これでは 「迷子問題」を本質的には解決できず、サーチエンジン本来の目的が果たせな い。
また過去の大規模な調査ではWWW上のコンテンツ間のリンクに双方向性はない ことが分かっているが[]、ユーザが主な情報源としてサーチエンジ ンに依存することで、情報の流通経路が一方向的になりがちであり、そうした 場合、意図的か否かを問わず情報を持つ側によってその内容が変更されても、 受信側はそれに気づくことができない。つまり情報格差を背景としたサーバ・ クライアント間の一方的な上下関係が発生する。これは従来からマスメディア に対して指摘されきたものと同様の問題で、相互性を持たない情報によって個々 人のコミュニケーションを分断しその操作性を高める、いわゆる「大衆化」の 問題である[]。