二種の大腸菌(K12株・O157株)における
χ配列の比較解析


大腸菌において、χ配列 (5'-GCTGGTGG-3') は RecBCD により認識され相同組 換えを促進するホットスポットである。K-12株(MG1665)においては1009個 のχ配列が大腸菌ゲノム内に存在し、このうち989個ものχ配列がORF内に 存在している。 

コンプリートゲノムが公開されたO157株とK12株を用いて、 χ配列を遺伝子名により対応させ、数や位置、保存状況などの比較を行なった。 O157では、ゲノムサイズの増幅に伴い、χ配列の数も多くなっていたが、 全体を通じてχ配列の分布はこの2種の大腸菌で非常に保存されている。 その中で注目すべき点としては、複製終結地点周辺に0.5Mにわたる ゲノムの逆位領域が見受けられ、この逆位に伴い同様にχ配列も綺麗に対応して 逆位している。

さらにこの2種の大腸菌において共通な起源を持つ遺伝子領域と、それぞれの 特異的な領域とに分け、これらの領域でのχ配列の数と出現頻度を求めた。 その結果、それぞれの大腸菌に特異的な領域においてはχ配列の出現頻度が 低く、χ配列は自己と他者との認識配列であるという仮説に基づくと、 外来DNA由来の領域であることが示唆された。

用語解説

研究内容

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