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周辺の機器を利用する計算機環境

ネットワーク接続された周辺の機器を,適宜組合せて利用することでサービスを実現する 計算機環境に関して,近年様々な研究が行われている. しかし,現実にこのような機器が分散した環境で,機器を必要に応じて利用したり, 組合せて利用することは容易ではない. 既存の研究では,環境に埋め込まれた機器を,ユーザの要求に応じて利用する 計算機環境の構築について様々な手法が提案されている.

これらの計算機環境を実現する手法として以下の2つのアプローチが存在する.

手法1:分散制御による機器の協調

遍在する機器が自律的に自らの機能やユーザの状況を把握し, それぞれが協調動作する.アプリケーションは各機器に分散して実行され, 機器制御のための特別な機構を用意する必要はない. また,アプリケーションは各機器に分散しているため,各機器に特化した機能を利用できる. しかし,ユーザの個人的な設定の保持や,ユーザの状況の取得が困難で,パーソナライズされた 利用環境を構築することは難しい. 具体的にはHive[6]やTSpace[7]などが, 分散協調を実現する枠組みとして存在する.

手法2:集中制御による機器の協調

ユーザが身につけた小型端末などに制御機構を用意し, これによって周辺の機器を集中的に制御する. 制御機構は周辺の機器やその制御方法を認識し,これを利用する. アプリケーションは制御機構上で動作し,各機器の制御インタフェースを取得して 周辺の機器を利用する. この手法では,このような制御機構が,環境またはユーザの保持する機器に必要となるが, 制御機構によってユーザの状況を取得できれば,それをアプリケーションに反映することも可能である. また個人的な設定を保持し,それをアプリケーションに適応することもできる. つまり周辺にある機器を利用して,個人的な利用環境を構築できる. 具体的には,Universal Interaction[8]や Document Based Approach[9]などの研究が,このような制御機構による集中制御を実現している. これらの手法では,XML[10]を用いて各機器の制御インタフェースを記述し,これを 小型端末上の制御機構によって参照することで各機器を利用する.

2つの手法の特徴を1にまとめる.


表 1: 機器の組み合わせ手法
組合わせ手法 制御機構の有無 個人環境の適応 アプリケーション 協調方法
分散制御 必要無し 困難 各機器で実行 機器上のアプリケーション
同士による協調
集中制御 必要 可能 制御機構で実行 制御機構からの制御



Takeshi Iwamoto
平成16年2月27日