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Wappletフレームワークを用いたメディアアクセス環境の実現
いつでもどこでもメディアアクセス可能な環境を実現する手順として,
次の3段階からなるフェーズを設定する.
2に実現するべき機能を制御機構,アプリケーション,機器それぞれについて
示す.図中の矢印は機能間の関連を示す.
図 2:
実現するべき機能
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- フェーズ1: 周辺の機器を利用するメディアアクセスアプリケーションの実現
機器上に分散したアプリケーションによって,メディアアクセス環境を実現するた
めの枠組みを構築する.
具体的には,機器上のアプリケーション実行環境とアプリケーションのメディア処理機能に
よって実現する.
また,いつでもどこでも利用可能な環境を実現する場合,ユーザの移動に伴い
利用できる機器が変化する.そのため個人の持つ携帯端末によって,
機器の利用可否状態を常に把握し,周辺の機器が変化した際には,
代替可能な機器によって作業を継続する機構が必要になる.
具体的には,制御機構の機器探索機能,機器のサービス登録機能,アプリケーションの
機器の切り替え機能によって実現する.
- フェーズ2: アプリケーションの状況への適応
例えば,ユーザが自動車を運転中であれば,ビデオのようなアプリケーションの利用は適当ではなく,
音声のみのメディアが優先されるべきである.
ユーザの状態をセンサを用いて携帯端末が取得し,これに従い
アプリケーションの挙動を変化させる機構が必要となる.
具体的には制御機構の状況認識機構,アプリケーションの状況適応機能によって
実現する.
また,アプリケーションが利用するメディアを,状況に応じて変換するための機能も
構築する.
- フェーズ3: ユーザの嗜好や設定のアプリケーションへの反映
状況だけではなく,アプリケーションはユーザの好みや設定に適応する必要がある.
例えば,同じメディアを提供可能な複数の機器があった場合,その選択は
ユーザの嗜好によって決定される.
具体的には,機器によるユーザ設定把握機能,アプリケーションによる設定の反映,
サービスの属性登録機能によって実現する.
本稿は,
マルチメディア環境実現のための基本的なアプリケーション環境を構築を目的として,
フェーズ1の実現に取り組んだ.
Takeshi Iwamoto
平成16年2月27日