□転写制御遺伝子スプライスバリアントのPPI解析
転写因子として知られているFosはJun b-ZIPモチーフ領域との相互作用が知られて
おりIVV法を用いた実験においても同様の結果が確認された.本研究で用いたFosスプ
ライスバリアントはb-ZIPモチーフのうちDNAとの結合領域全域(basic region)及び
ロイシンジッパー(Leucine zipper)において5回繰り返されるロイシンについてN末端
側の1回分を欠く.これによってPPIには強弱の変化がタンパク質-DNA相互作用
(Protein-DNA Interaction; PDI)についてはON/OFFの変化が確認されると予想さ
れた.またこのスプライスバリアントは膵臓および骨髄由来のEST(Expressed Sequence
Tag)に基づいており,公共の選択的スプライシングデータベースの中ORFが定義され
ているという特徴をもつASAP (Lee et al., 2003)にもエントリーされていることから
多くの情報を有しているといえる.しかしPPIおよびPDI変化とそれに伴う表現型への影
響に関する先行研究は存在していない.PPI解析においてはIVV実験によってPPIが確認さ
れているJun b-ZIPモチーフ領域に対してFos全長,Fosスプライスバリアント及びFos
b-ZIPモチーフ由来タンパク質の3サンプルについてプルダウン法を用い蛍光標識した
Jun b-ZIPとの相互作用を確認した(図3).
図3 (以下、図の説明)
本研究で用いたFosスプライスバリアントは’cassette’型といわれる選択的スプラ
イシングパターンをとっており,PDI領域全域,PPI領域の一部を欠く.この変化に伴い
IVV先行実験によって特定されたJun b-ZIPに対する結合,DNAのAP-1結合領域
(Fos・Jun複合体結合領域)に対する結合が変化すると予想された.図には全長,
スプライスバリアント,Fos b-ZIPについて予想されたPPIに関する概念図を示す.
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