□転写制御遺伝子スプライスバリアントのPDI解析
FosスプライスバリアントのDNAに対する結合性についてON/OFFの変化が確認された (図8,9)．
これはスプライスバリアントにDNA結合領域が存在しないという構造特性を反映した結果といえる．
さらに過去の研究においてJunの構造異常によってAP-1がDNAとの結合能を失うことが知られている
(Farrow et al., 1996)．今回の実験においてこの現象と同様の相互作用変化を確認することが出来たといえ，
相違点としてはFos側の変化に由来していることが挙げられる．
このことからFosスプライスバリアントが生体内において調節機構として働いている
可能性もしくは異常スプライシングパターンとして疾患の要因となっている可能性が考えられた．
図8 （以下、図の説明）
レーン1：DNAあり，FOS full, Jun full dimmer supernatant，レーン2：DNAあり FOS full, Jun full dimmer elution，レーン3：DNAなし，FOS full, Jun full dimmer supernatant，レーン4：DNAなし FOS full, Jun full dimmer elution，レーン5：DNAあり，FOS variant, Jun full dimmer supernatant，レーン6：DNAあり FOS variant, Jun full dimmer elution，レーン7：DNAなし，FOS variant, Jun full dimmer supernatant，レーン8：DNAなし FOS variant, Jun full dimmer elution，レーン9：DNAあり，Jun motif homo-dimmer supernatant，レーン10：DNAあり，Jun motif homo-dimmer elution，レーン11：DNAあり，FOS motif, Jun full dimmer supernatant，レーン12：DNAあり，FOS motif, Jun full dimmer elution，レーン13：DNAあり，FOS motif, Jun motif dimmer supernatant，レーン14：DNAあり，FOS motif, Jun motif dimmer elution，レーン15：DNAなし，FOS motif, Jun motif dimmer supernatant，レーン16：DNAなし，FOS motif, Jun motif dimmer elution
レーン2およびレーン6において濃淡の違いが確認されるバンドはJun fullに由来すると考えられ，レーン2についてそのバンドの下に確認されるバンドはFOS fullに由来すると考えられる．従ってFOS variantについてDNAとの相互作用は確認されないことを実証することが出来たといえる．
またFOSおよびJunを共翻訳させずFOSのみに標識した実験系においても同様の結果が得られた（図9）．
図9 （以下、図の説明）
レーン1：DNAあり，FOS full, Jun full dimmer supernatant，レーン2：DNAあり FOS full, Jun full dimmer elution，レーン3：DNAなし，FOS full, Jun full dimmer supernatant，レーン4：DNAなし FOS full, Jun full dimmer elution，レーン5：DNAあり，FOS variant, Jun full dimmer supernatant，レーン6：DNAあり FOS variant, Jun full dimmer elution，レーン7：DNAなし，FOS variant, Jun full dimmer supernatant，レーン8：DNAなし FOS variant, Jun full dimmer elution
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