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実録!ビヨンド社のイノベーション ~ S.Kさん

S.Kさんは、私が以前の部署でお世話になった方で、知る人ぞ知るビヨンド社の野心的なネットワーク対応ビデオカメラを立ち上げてこられました。歯に衣着せぬ人柄と、チームを守る浪花節でエンジニアの人気も高い方です。ビデオカメラ圏の梁山泊、「新しいことをやるならS.Kさん」。そんなS.Kさんに、実際の様子を伺いました!

社長R&D戦略スタッフから、実商品開発の現場へ

社長直属のR&D戦略スタッフとしていた活躍をされていたS.Kさん。その頃、当時既にキーワードであった、「ネットワーク」を応用した商品に関する事業戦略を6年余り描き続けていました。そんな中、それまで思い描いてきた事業企画を、実現するためにビデオカメラの事業部へ向かい、中期計画、部長会など事業計画の場にて、S.Kさんの思うネットワーク戦略をプレジデント・スタッフとして提案し、騒ぎたてました。当時はまだ「IP」と言う言葉さえ設計部内に浸透していなかった時代です。S.Kさんの考えるネットワーク商品の世界が理解を得るには、長い道のりが必要でした。

役員H.Aさんがご理解、ネットワーク関連開発チーム発足

そんな中、役員H.Aさんのご理解により、ネットワーク関連開発チームが発足となります。発足当初は役員H.Aさんから推薦された、4~5人の精鋭達と共に、ネットワーク技術の応用検討がチームとして具体化します。まさにその形態は"遊軍だった"と、S.Kさんは語ります。ビデオカメラがビジネスとして非常にうまく行っていたと言うこともあって、役員H.Aさんからは、「直近のビジネスにならなくとも良い」と言う「遊軍」のお墨付きをもらうことになります。新しい付加価値の検討を「自由に」「遊びながら」プロトタイピング検討できるチームが出来ました。そこでは、H.ATの応用検討や、音声認識、ライフカメラ的使い勝手、メーラー、ブラウザ応用の実験を行っていました。

歴史もあり、プロセスもしっかりおり、何よりビジネスとして大成功しているビデオカメラ設計部隊ではありますが、エンジニアには現状に対する危機意識や、新しいものに対する興味・モチベーションは高く、皆、手弁当で開発に集まってきてくれるようになります。そこにはビデオカメラ圏から人が人を呼び、最終的には70人くらい(ネットワーク技術部)の部隊にまで成長。人が人を呼んだだけに、本当にやりたい、本当に好きな人が集まってきたとのことです。当時のビデオカメラ圏の

S.Kさんは、当時を振り返り、当時プレジデントのD.Bさんからの全面的なネットワーク関連商品開発に関する権限委譲がこのチームの成り立ちに欠かせないと語っています。D.Bさんご自身は、ネットワーク技術には全く知見がなかったと聞きます。それが幸いして、このような判断となったのかも知れません。

超小型ビデオテープ商品化との合流

当時、ビデオカメラ用超小型ビデオテープの商品化について、当時のカンパニーは喧々諤々議論が巻き起こっていました。そんななか、「それでもビデオカメラ用超小型ビデオテープを商品化したい!」思いを持つ当時の商品責任者と合流。それまでネットワーク関連開発チームで温めていたネットワークネタ(メールで動画コンテンツシェア)を実装する機会に恵まれることとなりました。これが、VIP-1を世に出した大きな力---即ち、遊軍的部隊を作ることが出来たこと、商品化の部隊との合流が出来たことの2点が重要であったと、S.Kさんは語ります。

ネットワーク・サービスの提案、インターフォト

VIP-1と前後して、2000年にリリースされたサービス、インターフォト(2000年10月~2009年6月)もまた、S.Kさんネットワーク遊軍のアウトプットです。ビヨンド社のウェブ・サービスと言いますと画像共有サービスであるところの別サービス(2002年9月~2008年1月)が知られた存在ですが、インターフォトサービスはそれよりも2年早くリリースされています。

このサービスもまた、遊軍メンバーが社内SNSを立ち上げて遊んでいたことがそのベースになっていたとのことです。「自由にやって良い」土壌と、低コストでローンチ出来たことが、リリースの成功要因であったとのことです。4~5名のチームで「できちゃった物」をベースで始めたものなのだそうです。

新規事業を起こすにあたり、最初に売り上げ○千億円目指すと言うわけではなく、低コストから進めるようなスタイルもありなのではないでしょうか。小さなプロトタイプのチームを作り、ppt書いている暇があったらプロトタイプ。アジャイルでプロトタイプさくさく。百万人の人向けアプリではなく、百人に受けるアプリを一万本。そういうのを目指したいとS.Kさん。

(参考)インターフォトサービスとは

インターフォトとは、Windows版クライアントアプリをインストールすることで、撮影されたJPEGファイルを各社携帯電話の表示サイズに最適化して送信するサービスです。ローンチが2000年10月で、当時のJ-PHONEが写メールとしてカメラ付き携帯が登場とほぼ同時期(1999年から2000年と言われています)。つまり、カメラのない携帯が多い時代にデジカメ画像を提供する唯一のソリューションでした。

今後のイノベーションについて

新しい商品と言う「箱」が思いつかない昨今、アプリケーションをたくさんつくれる土壌が、エンジニアが面白くなるし、世の中にも響くイノベーションに繋がっていくのではないか、とS.Kさんはおっしゃいます。また、インキュベーションに特化された自由な組織と、トップの意思決定や商品設計との連結が、ビヨンド社のイノベーションには必須であろうとのことです。

 

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