Gnutellaには、以下のような特徴および問題点がある。なお、問題の捉え方に よってその特徴がメリットかデメリットかが異なることが多いため、特に分類 はせずにリストしてある。
Gnutellaでは、他のサーバントに対してファイルを公開(共有)するか否かや、 どのファイルを公開するのか、ネットワークに接続するか否か、どれだけの時 間接続するか、といったサービスに直接関係する条件をそれぞれのサーバント が個々に独立に決定する。そのため、接続相手や検索の結果が実行の度に異な るということも珍しくない。これらは情報のリアルタイム性の裏返しでもある ため、一概にデメリットであるとは結論できないものの、システム全体のパフォー マンスが個々のサーバントを利用するユーザの自発性に依存することを示して おり、ユーザの行動次第では、ファイル共有サービスが成り立たなくなる可能 性も無いわけではない。
特にGnutellaのような匿名性の高い、不特定多数のユーザによって構成される P2Pシステムにおいては自発的な資源共有が鈍化し、個々のサーバントがファ イル共有サービスにおいてクライアントの機能しか果たさなくなる可能性があ る。これは実質的にはC/Sシステムのような中央集権的システムの運用形態と 同じになることを意味している。
Adar & Huberman(2000)が行ったGnutellaのトラフィックの調査によれば、ユー ザは大多数のファイル消費者と少数の自発的なファイル公開者に分化している という。また、ファイルを公開しない「フリーライダー」と呼ばれるサーバン トが増加することによって、本来水平的、分散的であるはずのGnutellaネット ワークが一極集中型の構造になり、サービスの品質が低下する可能性があると 指摘されている[]。