2001年森基金活動報告書

ITビジネスプログラム

岳  彬

 

中国携帯電話市場における政策及び戦略

――――中、日、欧米の比較―――

携帯電話が中国に登場したのは80年代後半のことである。1997年までの利用者は1000万人弱であった。ところが、1998年から1999年にかけ、約2倍の速度で普及し始め、2000年6月にはそれまで世界2位であった日本の利用者数を遥かに超え、アメリカに継ぐ世界第2位の携帯電話所持大国に成長した。さらに、2001年にはアメリカを追い越し、世界一の携帯電話大国に踊り出た。 このような巨大な中国携帯電話マーケットは本論文にて後述する様々な問題を抱えており、現在その解決策が求められている。大まかに言えば、いかに市場を整えるか、どのような携帯電話が売れるのかといったものだ。私はこれらの諸問題への提案を思索すべく、日本、欧米の経験をもとに、中国携帯市場のシミュレーションを行い、最終的には中国に行き、法人へのインタビューおよび個人へのアンケートを実施した。諸所の法人インタビューの際にもっとも驚いたことは中国の携帯電話キャリアが持つ成熟度の低さであった。まずマーケットでもある携帯電話市場に関するデータが根本的に少ない上、市場分析などはめったに行われないとのことであった。こういった法人の現況を踏まえ、個人へのアンケートではできるだけ多くの方にインタビューし、より正確な情報収集に努めた。 本論文では、まず世界の携帯電話市場をマクロな視点で論じ、中国の携帯電話市場を紹介した上で、世界市場からみた日、中、欧米の携帯電話市場の比較をする。比較した結果と実施したアンケートの分析結果を合わせて分析し、中国の携帯電話市場に存在している問題を明らかにする。さらに、そこに取り上げられた中国の携帯電話通話料金の問題をフォーカスして論じる。また、日本および欧米の携帯電話市場が拡大されていく過程で生じた様々な困難、経営課題から教訓を得た上で、これからの中国の携帯市場が辿るであろう道筋を予測し、その政策を模索、検討していきたい。具体的な内容としては中国の携帯電話市場を拡大させるための解決策を述べ、通信キャリア、携帯電話メーカーごとに具体策を提案する。中国人のもっとも欲しがる携帯電話のイメージ図を描く。結論としては通信キャリアに競争相手を増やすこと、国内携帯電話標準を作ること、携帯通話料金をワン・ウェイ徴収式にするアイデアを中心にインプリケーションを議論する。一方、携帯電話メーカーに対しては携帯

電話の機能とデザイン、色、政策までインプリケーションを議論する。

アンケート用紙    

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