図 7 のグラフの縦軸はスループット (Mbps) を表し, 横軸の``Shepherd''はShepherdによるVPNを介した計測結果, ``No Shepherd''はShepherdを用いず通常のPNを介した計測結果を表す. Shepherdの中央値は35.53 Mbps, No Shepherd の中央値は 95.68Mbps となりスループットが減少した. スループット減少の原因として,Shepherdが介することによる通信量増加と転送能力の限界の2つの原因が考えられる.
1つ目の原因である通信量増加は, Shepherdはノードから集約したEthernetフレームをペイロードとし, UDPを用いてEthernetフレームを転送することによるヘッダの増加が原因である. Ethernetヘッダは8バイト,UDPヘッダは8バイト,IPヘッダはオプションがない場合20バイトとなるため, Shepherdが介すると1つのEthernetフレーム毎に42バイト増加する. このため,EthernetフレームのMTUを1500とすると,Ethernetが付加するヘッダサイズは最小でも 2.8% (= 42/1500)を占め,ヘッダサイズの分スループットが減少すると考えられる.
2つ目の原因である処理能力の限界は, ノード1がnetperfを用いて送信するEthernetフレームが膨大過ぎるために ShepherdによるEthernetフレームの転送処理が間に合わないことに起因する. Shepherdの転送能力の限界から転送するEthernetフレームが間引かれ, スループットが減少した可能性がある.
インターネットを介した通信ではインターネット自体が帯域のボトルネックとなるため,
35.53Mbpsというスループットは十分な帯域であると言える.