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スループット

本小節ではShepherdによるVPNを介したスループットの計測を行った. ノード1からノード4へnetperf [14]を用いてスループットを計測した. トランスポートプロトコルにはUDPを指定し,Ethernetフレームサイズを1472バイトとし, 計測時間を10秒,計測回数を10回とした. 計測結果を図 7 に示す.

Figure: UDPスループットの計測結果

\includegraphics[width=7cm, clip]{figure/eval_th_udp.eps}

7 のグラフの縦軸はスループット (Mbps) を表し, 横軸の``Shepherd''はShepherdによるVPNを介した計測結果, ``No Shepherd''はShepherdを用いず通常のPNを介した計測結果を表す. Shepherdの中央値は35.53 Mbps, No Shepherd の中央値は 95.68Mbps となりスループットが減少した. スループット減少の原因として,Shepherdが介することによる通信量増加と転送能力の限界の2つの原因が考えられる.

1つ目の原因である通信量増加は, Shepherdはノードから集約したEthernetフレームをペイロードとし, UDPを用いてEthernetフレームを転送することによるヘッダの増加が原因である. Ethernetヘッダは8バイト,UDPヘッダは8バイト,IPヘッダはオプションがない場合20バイトとなるため, Shepherdが介すると1つのEthernetフレーム毎に42バイト増加する. このため,EthernetフレームのMTUを1500とすると,Ethernetが付加するヘッダサイズは最小でも 2.8% (= 42/1500)を占め,ヘッダサイズの分スループットが減少すると考えられる.

2つ目の原因である処理能力の限界は, ノード1がnetperfを用いて送信するEthernetフレームが膨大過ぎるために ShepherdによるEthernetフレームの転送処理が間に合わないことに起因する. Shepherdの転送能力の限界から転送するEthernetフレームが間引かれ, スループットが減少した可能性がある.

インターネットを介した通信ではインターネット自体が帯域のボトルネックとなるため, 35.53Mbpsというスループットは十分な帯域であると言える.


root 2007-03-08