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clash of eXtreames

 昨年のオープンリサーチフォーラム(ORF2007)で、私たちは、「極端なるもの(エクストリーム)」を目指すことを宣言した。2008 年、慶應義塾の創立150 年という記念すべき年に、私たちは、「極端なるもの」がぶつかり合うことによって、何が生まれるか…という実験を試みたい。つねに多様性を尊び、みずからを再編成してゆくSFC のスピリットに満ちた実験は、私たちを創造的な「対話」へといざなうはずだ。

 ボームは、私たちが、無自覚に自分の意見に固執しがちであることを示唆しながら、「断片化」という思考の過ちについて、つぎのように書いている。「断片化のせいで、事物はあたかも個々に存在するかのように、小片に分割されてしまう。ただ分断されるだけでなく、実際には分かれていないものまでばらばらにされるのだ。それは腕時計を取り上げて壊し、ばらばらの破片にするのと似ている。分解して一つ一つの部品にする行為とは異なる。部品は全体の一部分だが、破片とは互いと無関係に、任意に存在するものにすぎない。本来なら適合し、一つにまとまるはずのものが、そうではないような扱いをされている。これが、誤った方向へ向かっている思考の特徴の一つである。」

 「極端なるもの」の衝突は、「融合」を目指すものではない。私たちの実験は、お互いの「適合」を確かめる作業である。衝突によって、消えゆくものは何か。残るものは何か。衝突という創造行為をつうじて、私たちは、「破片」と「部品」を見極めるのだ。この実験で、私たちは、いま一度、みずからの能力や可能性を知ることになる。変化の激しい時代を生き抜くための、逞しさと繊細さを獲得するために、これは、避けることのできない衝突である



メインストリームな融合 エクストリームな衝突