2004年度 森泰吉基金 研究成果報告書 no.7


コモンデータに基づく 流域の自然共生型 都市再生モデル に関する研究


平成17年2月28日

慶應義塾大学 政策メディア・研究科
片桐 由希子
  1. 研究の概要
  2. 取り組みと成果
    1. 2時期の土地利用データによる小流域の緑地環境の分析
    2. 水循環の指標を用いた流域環境の評価
  3. まとめと今後の方針

     

     

     

     

     


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2.取り組みと成果

1.2時期の土地利用データによる小流域の緑地環境の分析

概要

目的
小流域を単位として、戦後の土地利用の変化の特徴から、緑地環境の質とポテンシャルを把握する。
対象地
鎌倉市神戸川流域(約400ha)
図5:対象地(神戸川)
使用データ
小流域図 : 都市計画基礎調査の地形データを基に作成
土地利用 :(現況)都市計画基礎調査(2000)
        (過去)地形図(1954)をもとに作成(石川研究室)
植生図  : 空中写真に基づいて作成(石川研究室)
使用した指標
2時期の土地利用による類型/樹林地変化量・植生比率

手順@ 類型化による特徴把握

小流域の土地利用の変化の特徴から、緑地環境の質を把握する手法を検討した。

2つの年代の土地利用比率からの、クラスター分析により、 この地域の特色である谷戸での土地利用が開発もしくは維持されたところなど、 6つ類型に分類された(図6)。

図6:2時期の土地利用による類型化

手順A 緑地環境の変化の把握

類型化の枠組みにより、植生図が提供する詳細な自然環境の情報から、 小流域の緑地環境の質を示す情報を定量的に抽出することが可能となった。

以上の分析・評価を利用することで、 例えば、谷戸が維持された類型でみられる樹林地の増加傾向と常緑広葉樹林の遷移の進んだ植生の分布から、 里山の放棄が読み取れその対策の検討につなげるといった利用が可能である(図7)。

図7:2時期による類型に基づく緑地環境の分析
備考
平成16年度 日本都市計画学会発表論文 山下英也・片桐由希子・石川幹子
「小流域を単位とした緑地環境の分析に関する研究―鎌倉市神戸川を事例として―」
日本都市計画学会学術研究論文集, 38(3),205-210
慶應義塾大学 政策・メディア研究科 片桐由希子
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