2004年度 森泰吉基金 研究成果報告書 no.7


コモンデータに基づく 流域の自然共生型 都市再生モデル に関する研究


平成17年2月28日

慶應義塾大学 政策メディア・研究科
片桐 由希子
  1. 研究の概要
  2. 取り組みと成果
    1. 2時期の土地利用データによる小流域の緑地環境の分析
    2. 水循環の指標を用いた流域環境の評価
  3. まとめと今後の方針

     

     

     

     

     


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2.取り組みと成果

2.水循環の指標を用いた流域環境の評価

概要

目的
小流域の緑地環境とその変化を、流域の水循環に基づく指標により、小流域の水環境の健全性として定量的に評価する。
対象地
横浜市帷子川上中流域(約41.3ku )
使用データ
小流域図 : 数値地図(標高)を基に作成
土地利用 :(現況)都市計画基礎調査(1997)
        (過去)地形図(1955)を基に作成
植生図  : 空中写真に基づいて作成(石川研究室)
使用した指標
2時期の土地利用による類型
平常時流量ポテンシャル [小流域・二次流域]
図8:対象地(帷子川中上流域)

手法 平常時流量ポテンシャルの算出

平常時流量ポテンシャルの算出モデル
平常流量のポテンシャルは、雨水浸透量をもとに算出した(図9)。 平常時流量は、流域の水源涵養力の低下等により全国的に減少傾向あり、 河川環境の健全性の回復には平常流量の確保が必要であること、 また、身近な水環境として生活に直接関わる事柄ことから、 河川の平常時流量のポテンシャルを水循環の健全性を捉える指標として採用した。
図9:平常流量ポテンシャルの算出のモデル
雨水浸透量 : (降雨量)ー(表面流出)ー(蒸発散)
平常時流量ポテンシャル:年間の雨水浸透量÷365
平常流量ポテンシャルの変化の把握
2時期の平常時流量を算出し、1955年の水環境を健全な状態とし、42年間の変化率を求めた(図10)。
図10:平常流量ポテンシャルの算出

成果 平常時流量ポテンシャルによる小流域の緑地環境の把握

成果として以下の2点があげられる(図11)

  • 平常時流量の変化率と先の、2時期の土地利用による類型とをあわせることで、小流域の緑地環境の変化の特徴が、水循環での健全性として定量化された。
  • さらに上位の単位流域の評価と組合せることで、小流域の緑地環境変化と、影響する範囲・アウトプットを定量的に把握することが可能となった

図11:平常流量ポテンシャルによる緑地環境の把握
備考
平成17年度日本造園学会全国大会 片桐由希子・山下英也・石川幹子
「流域の水循環に視点をおいた小流域の緑地環境の変化に関する研究」(審査中)
慶應義塾大学 政策・メディア研究科 片桐由希子
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