所長挨拶

「未来の知」を産官学と一緒に創造する


大学教員には担当する授業を教える「教員」としての顔と専門とする研究を行う「研究者」としての顔があります。もちろん我々教員は「半学半教」という福澤先生の教えのもとで、日頃の授業のなかで学生から指摘される新たな視点を得ることも多く、それは研究にも活かされています。

SFC研究所は後者の研究者としての我々,大学院政策・メディア研究科、健康マネジメント研究科、総合政策学部、環境情報学部、看護医療学部の教員を支える組織です。公的資金や民間資金を原資とする研究活動だけでなく、あらゆる研究活動はこのSFC研究所を通じて社会とつながっています。

1996年の発足以来、専任教員だけでなく特任教員・上席所員・所員、さらには世界トップレベルの研究者である卓越所員ら、総勢900名余りを擁する組織へと発展してきました。 研究体制としては、「ラボラトリ」(先端的研究ミッションを持つ横断的な研究グループ)、「SFC研究コンソーシアム」(SFC研究所と複数の外部機関によって展開される共同研究)が存在し、日々新たな知の創造をめがけた活動を行っています(2025年10月現在、ラボラトリは28団体、コンソーシアム29団体が活動中)。毎年、研究成果を一般に公開するSFC Open Research Forum (ORF)は回を重ね2025年には30回を迎えました。SFC研究所はこのORFをはじめとしてキャンパスで生み出された新たな知を対外的に広報し、さらには研究活動で生じた知的財産に対する支援やインキュベーション支援も行っています。

二研究科・三学部を擁するSFCが網羅する研究領域は幅広く、そのことは社会でも認知されてきました。SFCならではの強みは、それらの異なる研究領域を横断することによって生まれる相乗効果にあります。SFC研究所は、その強みをさらに広く周知するべく、今後も邁進してまいります。

このように、SFCには、新しい知を生み出し、その成果を社会に還元するためのさまざまな仕組みや生態系が整っています。そして、イノベーションを巻き起こすために大切な、「面白い」を共有できる文化が醸成されているといえるでしょう。
産官学と協力しながら喫緊の社会的課題の解決に向けた研究とともに、まだ誰も気がついていない遠い未来に起こるであろう課題について取り組む研究、すなわち「未来の知」の創造、世界最先端の突き抜けた研究が生まれる土壌づくりをSFC研究所は目指したいと思います。
今後ともご支援のほど、宜しくお願い申し上げます。

慶應義塾大学 SFC研究所
所長 仰木 裕嗣(政策・メディア研究科、環境情報学部 教授)

研究者
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