E-CELLコンソーシアム

E-CELL Consortium

※本コンソーシアムは終了しました。掲載の情報は終了当時のものです

E-CELLは、細胞シミュレーションのための汎用ソフトウェアです。
E-CELLを用いたシミュレーションは、細胞内の限定された反応を再現するだけでなく、代謝、シグナル伝達、転写、翻訳といった細胞プロセスのほぼすべてに対応します。また、従来のように一部の現象を見るだけではなく、ネットワークとしての関連性をとらえることが可能となり、はじめて見ることができる生命現象もあります。
本コンソーシアムでは日本のソフトウェア技術を結集させ、この分野で世界のリーダーシップを取ることを目指します。会員企業は湘南藤沢キャンパスまたは鶴岡タウンキャンパスに若手研究員を1~3年間派遣し、慶應義塾大学の指導のもとにE-CELLプロジェクトの一員として、ソフトウェア開発またはモデル構築に従事します。これらの成果は会員企業に優先的にオープンにされます。最終的には学会などで発表し、成果を会員企業のロゴマークとともに全世界にむけて発信していきます。

参加組織数5

IAB

検討課題

近年、細胞のモデリング、コンピュータ・シミュレーションは、複雑な細胞内代謝の動的な振る舞いを理解するための新しい方法論として注目を集めています。医療や創薬、微生物の工業利用や環境浄化などの産業応用という面でも、21世紀の最重要技術の一つであることは間違いありません。
慶應義塾大学では、1995年に細胞シミュレーションを行うべく「E-CELLプロジェクト」を発足し、シミュレーションのための基盤ソフトを開発し、それを用いて様々な細胞代謝モデルを構築してきました。しかし細胞シミュレーションのためのソフトウェア技術やモデリング技術はいまだ開発途上であり、大規模な細胞モデル構築のために解決すべき問題は山積みされています。

  1. シミュレータコアの改善
    1) 分散オブジェクト環境への対応
    2) シミュレーション並列化
    3) アルゴリズムモジュール間で共通の空間情報サポート
    4) icc、cccなどGNU以外のコンパイラ、Linux以外のプラットフォームへの移植開発作業(C++)
    5) python 以外のフロントエンド言語サポート
  2. セッション記述/管理、ユーザインタラクションの開発
    1) セッションモニターGUI(従来のE-CELL 1のGUIにあたる部分)開発
    2) フロントエンド開発toolkit
    3) (数理解析含む)セッション記述フレームワーク
    4) セッション分散並列化フレームワーク
  3. モデリング環境の開発
    1) EML(XMLベースのモデル記述言語)の定義
    2) スクリプトベースモデリング環境
    3) インテリジェントモデルエディタ開発
    4) プロジェクトデータベース開発
    5) データベースfacade開発
    6) モデル自動生成プログラム開発
    7) 細胞シミュレーション オープンポータルwebサイト開発

研究計画

下記の要件を兼ね備えた、細胞シミュレーション研究コミュニティにおいて共有可能な世界最高水準のE-CELLソフトウェア的基盤およびモデルを構築し、食品・薬品・医療等各種分野への積極的な応用化を図ります。

1. プラットフォーム
1) OpenSourceであり、特定の計算機環境に依存しない
2) デスクトップから計算機センターまでカバーできるスケーラビリティをもつ
3) コアは移植性に優れる

2. シミュレータ
1) ユーザが新しい計算アルゴリズム、データ構造をplug-inとして開発できる
2) 異なる計算アルゴリズム、異なるタイムスケールで駆動されるサブモデルの混在を許す
3) 共通の空間情報表現をもつ
4) 並列計算が可能である

3. モデリング/シミュレーション環境
1) フロントエンド記述が容易である
2) プロジェクト、ユーザごとにカスタマイズが容易である
3) データベースとの連携に適している

構成メンバー

冨田 勝代表 名誉教授
内藤 泰宏 環境情報学部教授
高橋 恒一 政策・メディア研究科特任教授(非常勤)
荒川 和晴 環境情報学部教授
鈴木 治夫 環境情報学部准教授
小泉 守義 SFC研究所所員
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