減災ケア情報学ラボ

Disaster Care Informatics Laboratory

開設2025年4月1日
代表者
宮川 祥子
看護医療学部 准教授
連絡先
E-mail:gci[at]sfc.keio.ac.jp
[at]は@に変換してください。

■目的

日本では、東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨災害、令和6年能登半島地震など、大規模な自然災害が頻発しています。これらの災害においては、避難所や仮設住宅などの現場で、多様な医療・ケア専門職が被災者の健康支援と生活再建に取り組んできました。

しかしながら、こうした現場での支援活動に関する記録を体系的に蓄積・分析し、減災ケアのエビデンスとして活用する仕組みは、十分に整備されていません。その結果、災害時における医療・ケアの在り方を科学的に検証し、改善に活かすための基盤となるデータが極めて限られています。

たとえば、能登半島地震では、DMAT(災害派遣医療チーム)、DPAT(災害派遣精神医療チーム)、DHEAT(災害時健康危機支援チーム)、DWAT(災害福祉支援チーム)、JDA-DAT(栄養・嚥下支援チーム)、JMAT(日本医師会災害医療チーム)、日本看護協会災害支援ナースのほか、歯科医師、ケアマネジャー、保健師、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、介護福祉士など、さまざまな職種が連携して支援にあたりました。これらの活動の一部は紙や電子ファイルで記録され、EMISやJ-SPEEDに入力された情報も存在しますが、それらをタイムリーに共有・分析するための環境は依然として不十分です。

私たちの研究チームは、災害時の医療・ケア活動に関する記録を包括的に蓄積・共有・分析可能とするための仕組みの構築に取り組んでいます。具体的には、記録フォーマットの開発、デジタル化、記録・活用マニュアルの作成、トレーニング手法の検討など、実装可能な仕組みの設計と運用に向けた研究を進めています。

また、これらの記録の分析を通じて、減災ケアに関する実践的なエビデンスを抽出し、制度設計や現場実践の改善に資する基礎資料を提供することを目指しています。

私たちの研究成果は、学術的に発信するとともに、国や自治体、災害支援団体、専門職団体等と連携し、災害時の医療・ケア記録の利活用を推進するための提言・実装につなげていきます。

 

研究活動計画の概要

  • 1年目

1.令和6年能登半島地震における避難所の保健医療福祉支援記録を基にした、支援手順書の作成

2.自治体との協定締結および避難所における医療・ケア記録活用環境の構築

3.災害時のケア記録に対応したデータセットおよびデータフォーマットの検討

 

  • 2年目

1.避難所の医療・ケア記録に基づくエビデンス構築の推進

2.災害時のケア記録を専門職間で共有する際の同意取得とアクセス制限に関する検討

 

  • 3年目

1.避難所の医療・ケア記録に基づくエビデンス構築の継続的推進

2.災害時のケア記録を電子的に取得・管理するためのプロトタイプツールの開発

 

 

構成メンバー

宮川 祥子代表 看護医療学部 准教授
全体統括・仕組み化検討
深堀 浩樹 看護医療学部 教授
高齢者ケア関連データ分析
永田 智子 看護医療学部 教授
在宅ケア関連データ分析
田口 淳子 看護医療学部 教授
公衆衛生関連データ分析
真志田 祐理子 看護医療学部 助教 (有期)
高齢者ケア関連データ分析
見谷 信弥 健康マネジメント研究科博士課程
避難所保健医療福祉支援データ分析
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