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慶應義塾大学と神奈川大学が連携し、3Dプリンタ製フェイスシールドを看護現場等に安全に届ける手順書と取扱説明書を公開

2020年5月8日

慶應義塾大学看護医療学部 宮川祥子准教授、神奈川大学経営学部 道用大介准教授、慶應義塾大学環境情報学部 田中浩也教授らのチームは、3Dプリンタを保有している個人や企業、レーザーカッターが使える「ファブラボ」などの少量生産を行っている工房製作したものを安全に訪問看護などの現場に届けることを支援するために、手順書と取扱説明書を4月24日特設サイトに公開しました

善意で製作した「もの」を通じて感染が広がらないように消毒方法とそれに耐えうる素材の情報、また受け取ったユーザー側が、使い方やメンテナンス方法を一目で理解できるような取扱説明書が含まれており、こうした取り組みを行う誰もが利活用できます。 


新型コロナウィルスの飛沫感染対策として有効な「フェイスシールド」が、全国的に不足している緊急の状況の中、3Dプリンタ等を保有する個人が、いち早く製造し現場に届ける試みが、日本
においても、世界においても広がっています。設計データをインターネット上で共有し改善しながらスピーディーに少量生産を行える点に特徴があり、緊急時の対応として、過去にはなかった自律分散的なものづくり実現しています。しかし海外では粗悪品も散見され、品質管理が新たな課題となってくる兆候がありました。

3名の教員は自身が保有している3Dプリンタを活用しながら、こうしたものづくりの長所を確認すると同時に、改めて気を付けるべき点を整理し、研究メンバーである湯浅亮平氏と吉岡純希氏とともに、緊急時であっても最低限の安全・安心なプロセスを担保するため情報を公開しました。

今後も、関係各所と連携をはかりながら、緊急対応と安全確保のバランスについて、状況の変化に合わせた検討を続けていく計画です。

 

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■宮川祥子 看護医療学部准教授のコメント
2016年に『FabNurseプロジェクト』を立ち上げ、3Dプリンタ等を活用した看護介護現場での『ケアのものづくり』の可能性を探ってきました。ケアとデザインをつなげ、臨床ニーズに即応するものづくりを実現するためには、ケアに求められる安全性への理解が不可欠です。現在、3Dプリンタを活用してフェイスシールドを作り医療現場に届けている多くの有志の方達がいます。多くの人の善意が医療現場で活かされるよう、この情報を活用していただきたいと考えています。

■田中浩也 環境情報学部教授のコメント
2015年に私が座長を務め開催された「ファブ社会の基盤設計に関する検討会(総務省)」で議論がはじまり、その後、慶應義塾大学SFC研究所ファブ地球社会コンソーシアム、および文部科学省COI (Center Of Innovation)プロジェクト「感性とデジタル製造を直結し、生活者の創造性を拡張するファブ地球社会創造拠点」で検討が継続されてきた、個人や少人数チームによるものづくりの責任や安全確保の知識が、この緊急事態のなかで必要とされました。一刻を争う状況でありながらも、最低限の安全と安心を担保できる「ひと手間」を入れることで、支援の質的向上が果たされると考えています。

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【本件についてのお問い合わせ先】
慶應義塾大学看護医療学部 宮川祥子研究室 FabNurseプロジェクト
fabnurse@sfc.keio.ac.jp

【配信元】
慶應義塾大学 湘南藤沢事務室 学術研究支援担当
Tel: 0466-49-3436 Fax: 0466-49-3594
E-mail:kri-pr@sfc.keio.ac.jp

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