- press release
脳波で「鳥肌が立つ音楽」を選曲 ―個人の快感を高める音楽体験を実証―
2026年1月16日
慶應義塾大学 藤井進也(責任著者、環境情報学部准教授 / KGRI音楽科学研究センター長)、近藤聡太郎(筆頭著者、環境情報学部訪問研究員/日本学術振興会特別研究員PD)、惠谷隆英(SFC研究所上席所員)、榊原佑奈(大学院政策・メディア研究科博士課程)、成瀬康(VIE株式会社社外取締役)、今村泰彦(同CEO)、茨木拓也(同CNTO)らの研究グループは、イヤホン型脳波計を用いて、音楽聴取中に生じる「鳥肌が立つような強い快感(鳥肌感)」を高める脳波選曲システム「Chill Brain-Music Interface(C-BMI)」を開発し、脳波選曲されたプレイリストが音楽の快感を実際に高めることを示しました。本研究は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)「若者の生きづらさを解消し高いウェルビーイングを実現する共創拠点」(横浜市立大学 宮崎智之プロジェクトリーダー)(注1)及び日本学術振興会特別研究員奨励費(注2)の支援を受けて実施されました。
私たちは音楽を聴いて深く感動したとき、しばしば鳥肌感を経験します。しかし、音楽の感じ方や脳の反応には個人差が大きく、すべての人に共通して鳥肌感をもたらす楽曲を提供することは困難でした。そこで本研究では、個人の脳波データに基づいて選曲を最適化するシステム「C-BMI」を開発し、その有効性を検証しました。
実験ではまず、各リスナーの快感度を、楽曲の音響特徴量から予測するモデルを構築しました。さらに、音楽聴取中にリアルタイムで計測した脳波から快感度を解読し、その情報と楽曲の特徴量をもとにモデルを随時再訓練・更新しました。こうして快感度が高いと予測された楽曲を自動的に選曲したプレイリストは、他のプレイリストと比較して、鳥肌の発生回数および快感の評価が有意に高いことが示されました。
本研究は、脳波に基づいて「個人が最も感動すると予測される楽曲」を選び出すという、かつてないパーソナライズドな音楽体験の実現に向けた重要な一歩です。音楽の楽しみ方を科学的に進歩させる本成果は、今後、エンターテインメント分野や音楽療法、若者のウェルビーイング向上への応用が期待されます。
本研究成果は、2026 年1 月5日に国際学術誌 『iScience』(Cell姉妹誌)にて公開されました。
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【配信元】湘南藤沢事務室 学術研究支援担当