Ambient IoT通信研究コンソーシアム
Ambient IoT Communication Research Consortium
開設 | 2024年3月14日 |
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代表者 |
三次 仁
環境情報学部 教授 |
連絡先 |
■背景
⼈⼝減少のトレンドが続き、⾼度成⻑期に構築したインフラや建物・構造物が⽼朽化する中、事故や故障による過⼤な損害を防⽌するため情報通信技術を⽤いて、⼈⼿に依存しない保守点検が求められている。
こうした⼈⼯物と情報システムとをつなげる技術領域や応⽤はInternet of Things (IoT)と表現されることが多い。IoTの普及、実⽤化のためには、⼈⼯物と情報システム間で双⽅向にデータをやり取りするアクセス技術が特徴的であり重要である。無線通信は、双⽅向にデジタル情報をやり取りできるIoTに有効なアクセス⽅式であるが、従来の無線通信⽅式では、⼈⼯物に取り付ける無線センサに⾃ら電波を発射する機能が必要であり、そのための電源を電池などで確保する必要があった。近年では、電池の不適切な廃棄による事故や環境汚染、宇宙環境など電池ができない利⽤環境、電池に使われるレアメタルの再利⽤の困難さなどの問題もあり、電池利⽤を前提としたIoTの実現には限界があり、電池なし無線センサへの期待が⾼まっている。また、Industry4.0に⾒られるように、AI+IoTによる⼯場の⾼度な⾃動化、設備保全の極限的な効率化への期待も⼤きい。
後⽅散乱(バックスキャッタ)通信は、電波の反射を利⽤した無線通信⽅式であり、省電⼒無線⽅式として良く知られているBLE(Bluetooth Low Energy)の1/1000程度の電⼒(10uWオーダー)で双⽅向通信を実現できる。このレベルの電⼒は、現⾏無線法令の範囲内での無線電⼒伝送で賄うことができ、電池フリーの無線センサを実現可能である。SFC研究所では、この分野に早期から着⽬し、後⽅散乱通信研究コンソーシアムを2019年に発⾜した後、2度活動期間を延⻑し2025年3⽉までの予定で、バッテリフリー無線センシングシステムの開発を産学連携で進めながら、ISOにおける標準化も推進してきた。
この間、ISO/GS1が中⼼となって進めてきたRFID(Radio Frequency Identification)の実⽤化が急速に拡がるとともに、ITU、3GPP、IEEEでも無線給電、エネルギーハーベスティング、蓄電回路技術とバックスキャッタ通信を組み合わせて電池なし無線センシングをインフラ的に実現するambient IoTが⽴ちがってきた。
こうした背景から、ambient IoTを主たる研究ターゲットとした新たな研究開発コンソーシアムを設⽴し、この重要な分野の研究拠点を構築することとなった。
■目的
Ambient IoT通信研究コンソーシアムの⽬的は以下である。
・30m級通信距離、MHz帯域幅のAmbient IoT通信を構成する端末および読み取り装置、電⼒供給装置に関する要素技術の研究開発
・Ambient IoT通信を構成する技術要素を組み合わせた技術検証実験および、実⽤化を前提とした実証実験の企画・準備・実施
・Ambient IoT通信に関する競争的研究資⾦等の共同提案に向けた準備
・Ambient IoT通信に関する標準化活動や研究開発動向に関する情報開⽰および情報交換
構成メンバー
三次 仁代表 | 環境情報学部 教授 技術統括 |
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市川 晴久 | SFC 研究所 上席所員 通信システム |
徳増 理 | 政策・メディア研究科 特任教授 デジタル回路 |
大脇 雅史 | SFC研究所・上席所員 組み込みシステム |