「デジタル・コンストラクション」コンソーシアム

Digital Construction Consortium

※本コンソーシアムは終了しました。掲載の情報は終了当時のものです

1. 「デジタル・コンストラクション」について:

 1.1. 技術的背景

近年、ICTの建設応用に関する動きが活発化しています。建設業界において「自動化施工」「省力化施工」「情報化施工」といった枠組みで行われてきた研究・開発が実用化に結び付き始めたことに加え、こうした活動をさらに発展させる目的から「i-Construction」という国土交通省の主導の新しい枠組みが展開されています。
しかしこうした動きが活発化した技術的背景としては、関連するICT分野(IoT、VR/AR、ドローン、デジタルファブリケーション)が分野的成熟を向かえたことで、実用化ハードルが急速に低下したことが挙げられます。
またBIM/CIMといった、建築・建設分野に関わる様々な異分野・異業種が情報データ連携を行うプラットフォームが提示され、それが普及してきたことも大きな要因と言えます。この様に建築・建設分野におけるICT応用は、各個別分野の業務をそれぞれに高度化・拡張すると共に、これまでは実現できなかった様な異分野間・異業種間の協働に繋がるワークフローの変革を起こし始めています。

 1.2. 社会的背景

一方で建設業界は、「一品受注生産」「現地屋外生産」「労働集約型生産」という特徴を持っており、業界の宿命として生産性向上が難しいという課題を抱えています。
しかし超高齢社会に突入した日本においては、就業人口や専門技術者数の減少といった就業構造の変化によって、省力化による生産性向上が喫緊の課題となってきています。
さらに近年では、建築・建設に求められる条件・性能などが高度化・複雑化してきています。また建築・建設に関わる職域自体も拡大してきていることで、業界的な省力化の要求に逆行するカタチで業務自体は増加傾向にあります。
こうした業界的な課題の解決に対しても、前述したICTの活用が注目を浴びており、その効果に期待が寄せられています。

 1.3. 創造的視点

我々が推進する「デジタル・コンストラクション」では、建築・建設業界におけるICT応用に対して、こうした技術的背景、社会的背景からくる要望・展開に加えて、持続可能性、資源循環、生活可能領域の拡大など、これまでの常識を破る革新的な建築性能を開拓して新たな価値創造に結び付ける、創造的視点の導入が重要と考えています。
建築・建設分野において、「創造的視点」を踏まえたICT応用を展開することによって、「生産性の向上」と「新しい価値創造」の両者を同時に達成することが、建築・建設分野が抱える様々な課題に対する真の解決に繋がると、我々は考えています。

 

2. コンソーシアム活動の目的と展望:

「デジタル・コンストラクション」の「ビジョン」を社会に問いかけ、普及に向けた取り組みを推進するためには、上記の「技術的背景」・「社会的背景」・「創造的視点」の3つ全てを軸とするような「具体的実施例の実現」の促進を目指す必要があると考えます。

そこで「デジタル・コンストラクション」コンソーシアムでは、「デジタル・コンストラクション」の具体的実施例実現に向けて、多くの関係主体の交流を促進し、協力・共創のネットワークを形成することを目的としています。

その結果として、コンソーシアム参加者の中から「具体的実施例」に繋がる様な技術開発、実験実証などのプロジェクトなどが生まれ、「具体的実施例の実現」に展開していくことを目指したいと思っております。

 

3. 具体的な活動内容:

「デジタル・コンストラクション」コンソーシアムで実施する活動は、下記の3つを方針として考えております。
  1. 「デジタル・コンストラクション」推進に向けて共有すべき「コアビジョン」の醸成
  2. コンソーシアムの参加者同士を繋ぐ連携プラットフォームを構築
  3. コンソーシアム参加者のコラボレーションを誘発する参加・体験ワークショップを運営

 

 3.1. 「デジタル・コンストラクション」に関する共有すべき「コアビジョン」の醸成

  3.1.1. 公的資金による大型研究支援予算への応募に向けた研究計画策定

デジタル・コンストラクション分野をより強力に推進するためには、国内外の研究者が集結して共同研究に取り組める拠点づくりが理想的であると考えられますが、そのためには公的資金による大型研究支援が必要になります。そこでこれまで進めてきた「デジタル・コンストラクション」のビジョンについてその社会的な意義とインパクトの大きさなど今一度、整理する作業に取り組みます。

  3.1.2. 「デジタル・コンストラクション」における先導的実践の紹介

「デジタル・コンストラクション」コンソーシアムメンバー企業によるICT応用事例、ICTによる生産性向上を新しい建築の価値や魅力を開拓に繋げようとするプロジェクトを相互に紹介する機会を設けます。実例の見学や技術のデモンストレーションなどを通じメンバー間でのさらなる共同研究へのきっかけとなります。

 

 3.2. コンソーシアムの参加者同士を繋ぐ連携プラットフォームを構築

  3.2.1. 定期勉強会とシンポジウムの運営を通した情報交換と交流の機会提供

コンソーシアム参加者による連携ネットワークを構築するために、情報の共有・交換、及び参加者同士の交流を目的とした「定期勉強会」と、コンソーシアムの活動を広報・周知し、コンソーシアム内外のネットワークを構築する「シンポジウム」を運営します。
「定期勉強会」においては、前述した「ICT分野における最新研究動向に関する講座」、「『デジタル・コンストラクション』」における先導的事例の紹介」、後述する「プロジェクト創造を仮目標に設定したグループワーク形式のワークショップ」を実施すると共に、参加者が情報発信、広報活動、独自研究プロジェクトの提案・実施、技術相談などを自由に行える機会を提供する予定です。

  3.2.2. 「デジタル・コンストラクション」データベースの構築

コンソーシアム参加者による連携ネットワークを構築のために、「デジタル・コンストラクション」に関連するコンソーシアム参加者の技術・設備・事例などを集約したデータベースの構築を行います。
コンソーシアム参加者が各々の興味・関心・目的に応じて繋がり、連携ネットワークを構築するために、データベースは利用技術の種類、実施者、キーワードなどの共通点・類似性によって、多様な検索・閲覧が可能なものを目指します。

 

 3.3. コンソーシアム参加者のコラボレーションを誘発する参加・体型ワークショップ運営

  3.3.1. プロジェクト創造を仮目標に設定したグループワーク形式のワークショップ

本コンソーシアムの目的は、「デジタル・コンストラクション」の「具体的実施例の実現」、およびそれに繋がるプロジェクトを誘導・促進することにあります。この目的のため、コンソーシアムの参加者によって「具体的実施例」、及びそれに繋がるプロジェクトを演習的に創造するワークショップの運営を行います。
このワークショップの狙いは、コンソーシアム参加者が各々の技術や着眼点を持ち寄ることで、それら自体は革新的なものではなかったとしても、その組み合わせや交換によって、単なる外注ではない、企業間コラボレーション、考え方の「組み換え」などが起こることを演習的体験を通して実感してもらうことで、「デジタル・コンストラクション」の実施に向けたモチベーションを醸成することにあります。

構成メンバー

池田 靖史代表 政策・メディア研究科教授
堀田 憲祐 政策・メディア研究科特任助教
對間 昌宏 政策・メディア研究科特任助教
アリック・リー 政策・メディア研究科特任助教
住友 恵理 政策・メディア研究科特任助教
阿部 祐一 SFC研究所上席所員
喬 龍盛 SFC研究所上席所員
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