地域IoTと情報力研究コンソーシアム

Regional IoT and Informative Force Research Consortium

※構成メンバーの所属・職位および本ページに記載の内容は、本団体設立当時のものも含まれます。ご了承ください。

目的

街から情報を収集し、それを多様な手法で解析し、その結果を街へフィードバックすることによって、情報の力が人の生活を豊かにする街を、スマートシティと呼ぶ。そこでは、物理空間から情報を直接的に採取する第一次情報産業と、情報を仕入れ、パーソナライズされた情報を大規模に製造する第二次情報産業、そうした情報を流通させる第三次情報産業が有機的に連携し、価値を持つ情報、すなわち情報財が循環する。物財の取引に加えて情報財の取引が加わることで、新たな経済発展が見込まれる。また、個々の情報財は、医療・健康、環境、防災・減災、土木、建築、農業をはじめとするそれぞれの分野で、利便性向上や安全性の向上、楽しさの向上など何らかの効用を提供するものである。一方、実空間を対象とした現在の情報技術は、狩猟と採集(すなわちセンシング)による原始的なレベルにある。近年の機械学習技術の台頭により、これが次のレベルに進みつつあると言えるものの、センシングされた情報は個々の企業、自治体、国等が自らの蔵(すなわちデータベース)に囲い込んで応用が進んでいない。

スマートシティに関する幾つかの取り組みは小規模な実証にとどまっており、本質的な解に至っていない。今後、情報技術の二次産業化、三次産業化によりスマートシティを実現するには、街に本源的に存在する大量の情報を網羅的にセンシングする必要があるものの、現在はごく限られた情報のみがその対象となっている。この結果、街の現状を理解し、未来の状況を予測するための情報製造技術の開発や、そうした技術を応用したサービスの創出が遅れている。今後、2020年には500億個と言われているIoT機器が生むデータを含め、街のあらゆる情報をセンシングする技術が必要であり、また、ディープラーニングをはじめとする機械学習技術等を応用し、スマートホーム、スマートモビリティ、スマートシティ等の多様な分野において、情報の力を活用したサービスを創出することにより、人の生活をより豊かにするスマートシティを構築する必要がある。

そこで本コンソーシアムでは、産官学連携によるスマートシティの創成を目的として、以下の研究教育を推進することを目的としている。それにより、SFCを国際的なスマートシティ研究教育拠点として形成する。

課題1:実空間からの網羅的情報獲得技術
機械(センサ)による直接的な情報取得に加えて、人の五感を活用した情報取得、ウェブページ等からの仮想的な取得等の諸技術の研究、開発、教育を推進する。

課題2:実空間情報の産業横断的流通技術
パーソナルデータを含め、実空間から取得された情報を、場合によっては対価を伴って広範囲に流通させるための技術、制度等の研究、開発、教育を推進する。

課題3:実空間情報を活用したサービス創出技術
実空間から取得された複数の情報を組み合わせて多段階に加工し、新たな価値を持つ情報を提供するサービスを実現するための諸技術の研究、開発、教育を推進する。

課題4:実空間情報を活用した地域課題の解決
実空間情報の獲得、流通、サービス創出技術を応用し、特に地方自治体レベルで活用可能なパッケージとしてまとめ、地域課題の解決に資する実装を行う。

神奈川県藤沢市とSFCの間では連携等協力協定が調印されており、これに基づいて代表者はすでにスマートシティに関する幾つかのプロジェクトを協力して推進している。また、同市は人口集中区域と農村区域、高齢化が進んでいる区域と若年層中心の区域、あるいは内陸部と海岸部といった多様な区域を含むことから様々な地域課題を内包している。このため先進的取り組みを同市から始め、他自治体へ広めていくことで、SFC発の革新を狙う。

研究活動計画の概要(1年目)

研究計画

技術課題(課題1~3)

  • 要素技術の開発、評価

実証課題(課題4)

  • 地域課題の把握、自治体実空間情報カタログの整備
  • 実証実験の推進(環境関連、高齢者見守り関連、交通運輸関連)

活動計画

研究会開催(各月)

  • 各課題の取り組み状況を会員間で共有し、議論する。

構成メンバー

中澤 仁代表 環境情報学部教授
米澤 拓郎 政策・メディア研究科特任講師
大越 匡 政策・メディア研究科准教授
陳 寅 政策・メディア研究科特任准教授
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