企業価値に資する人的資本経営コンソーシアム

開設2023年5月1日
URLhttps://www.capital.sfc.keio.ac.jp/
代表者
保田 隆明
総合政策学部 教授
連絡先

※構成メンバーの所属・職位および本ページに記載の内容は、本団体設立当時のものも含まれます。ご了承ください。

■目的

本研究は、ESG(E:環境、S:社会、G:ガバナンス)が企業の財務戦略、経営戦略、組織戦略の3つの領域に与える影響と、それを投資家がどのように評価するかについて事例分析と実証分析を通じて明らかにする。これにより、企業において大きな経営上の課題となっているESGへの取り組み方とその度合いについての最適解を提示することを目的とする。特に、近年実務現場から引き合いの強い人的資本経営に関連する事項を集中的に研究する。

国連がESGを軸とした責任投資原則を定めて以降、企業は利潤の追求のみならず、人にも社会にも優しいサステナブルな社会実現に向けて、目に見える形で貢献をすることが求められるようになってきている。

一方、企業はどのようにそしてどの程度ESGに取り組むべきか、またそれを株式市場はどのように評価するかに関しては、未知の点が多い。そこで本プロジェクトでは、事例研究、実証分析を通じて、それら企業の行動指針となりうる各政策の提言を行っていくことになる。

特に、海外の状況を勘案しても、ESG活動の主体は将来を担うZ世代が中心となっていることも多いため、本プロジェクトにおいては大学という機関設計を生かし、現役の大学生、大学院生の目線を積極的に研究活動に取り入れ、企業への働きかけを行なっていくこととする。

 

研究活動に関しては、主に以下の3つの分析を行う。

1. 企業のESG経営を支える財務戦略と株式市場からの評価について、

2. ESGを軸とした事業ポートフォリオ構築に関して、

3. ESGを実現するための組織づくりについて、それぞれ事例研究と実証分析を行う。

1, 2, 3すべてについて、研究代表者の保田は世界の主要企業における取り組みを2022年に発刊した『ESG財務戦略』(共著)の中で取りまとめている。本研究はそれを素地としてさらに発展させ、特に日本企業への示唆導出を意識的に行う。

 

 

研究活動計画の概要

主に以下の3つのテーマについて、定期的に研究会を開催していく。研究会は1-2ヶ月に1度の頻度で開催予定。

1.ESG投資と企業の財務戦略について

ESG領域における非財務情報の開示のあり方、投資家をはじめとするステークホルダー(主に資金提供者)とのコミュニケーション方法、消費者(特に潜在顧客)へのメッセージ発信やアプローチ手法に関して、既出のアカデミックリサーチと企業における取り組みの事例研究の蓄積を行なっていく

2.ESGを通じたサステナビリティ経営と人的資本経営について

事業会社の立場ではサステナビリティ(環境負荷軽減、CO2排出量削減、循環型経済志向等)、人的資本経営(ワークライフバランス改善、リスキリング、ダイバーシティ&インクルージョン等)の分野において課題と対策が求められており、アカデミアの研究をレビューした後に、国内外の企業の組織づくりと組織変革の事例を積み上げていく。

3.人的資本経営の暗黙知の認知化

企業の中には、人的資本経営を標榜していないものの好業績をあげている企業が少なからず存在する。そこでは言語化は行われていないものの、実態としては人的資本経営が実践されているケースが存在すると想像され、そのような現場では当たり前となっている非認知、非言語な人的資本経営の認知化、言語化を主にインタビュー調査をもとに解き明かす。

以上の研究結果を積極的に対外発表していく。具体的には学術論文と活動報告書の執筆という書面による報告と、公開シンポジウム開催のふたつを予定

構成メンバー

保田 隆明代表 総合政策学部 教授
研究活動統括、ESGが企業の財務戦略や企業価値に与える影響についての分析
琴坂 将広 総合政策学部 准教授
企業の国際展開、事業成長に及ぼす影響についての分析
清水 たくみ 総合政策学部 准教授
ESGにおける人的資本経営、多様性を生かした組織づくりについての分析
崎濱 栄治 明治大学理工学部 特任講師/SFC研究所上席所員
AIおよび統計的手法を通じた分析
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