東西ライフサイエンスイノベーションコンソーシアム

East-West Life Science Innovation Consortium

※本コンソーシアムは終了しました。掲載の情報は終了当時のものです

代表者
渡辺 賢治
環境情報学部教授

目的

現代医療における重要なテーマの1つとして、ヘルスケアにおける予防医療が挙げられるようになって久しい。昨今、現代人の生活習慣・環境の変化から、不定愁訴・未病者や生活習慣病の増加が著しいが、症状を最初に定義する必要のある西洋医学の枠組みでは解決策を見出すことが難しい。それゆえ、社会的なニーズはあるものの方法論が確立されていない領域として、予防医療が取り残されている状況にあると言える。本コンソーシアムでは、日本の伝統医学である漢方医学と西洋医学の方法論を統合させ、ITシステムとの融合からユーザーの健康医療情報を蓄積し有効活用することで、医療サービス提供に向けて未病診断支援システム、一般ユーザーに向けてセルフメディケーション支援システムを開発し、実証を試みるアプローチを採用する。
そもそも、漢方医学は、中国に起源をもつ日本独自に発展した伝統医学であり、四診(望診(舌診を含む)、聞診、問診、切診(脈診を含む))を通じて個々人の体質である「証」を診断し、養生指導と漢方薬処方で患者の総合的な体質改善を図るものである。よって、患者の症状だけではなく体質改善も図るため、現代人に多く見られる未病や不定愁訴、慢性疾患に対しても対応が可能であり、漢方薬は自然物由来の生薬で構成されているため、西洋薬と比べると相対的に副作用が少なく患者に受け入れられやすいという特徴がある。また、近年漢方薬の科学的エビデンスが整備され、西洋医学と一体化しているのが日本ならではの強みと言える。
そこで、上記の特色を持つ漢方医学の方法論を標準化し、最先端の画像診断・センシング技術を用いることで未病者のバイタルデータを収集し、主観情報(問診データ)と客観情報(舌診、脈診データ)を組み合わせた診断アルゴリズムの開発を実施する。さらに、各診断アルゴリズムが統合化されたデータベースを構築し、診断結果と客観データによる経時的な治療効果予測モデルを作り上げることで、診断アルゴリズムの精度をより一層高める仕組み作りも並行して開発する。

研究活動計画の概要(1年目)

A.医療機関への漢方診療支援ツールの導入:
漢方薬を処方する機会のある医療機関・医師向けに、患者の漢方診療支援ツール(問診・舌診・脈診をもとに体質の所見提示と最適な漢方薬選択をサポートするツール)を提供するための方法論を開発する。

B.海外の医療サービス提供者に対するティーチングクリニック:
海外の医師、特に欧米の医師向けに強いニーズのある漢方診断方法について、診断支援ツールを用いた診断方法、漢方クリニックを開く際のビジネス面でのスキル・ファンドの開発サポートを目的としたトレーニング講座を提供するためのラーニングシステムを開発する。

C.薬局向け漢方薬選択支援ツールの導入:
薬局・薬剤師向けに、適切な漢方薬選択をサポートするツールを提供するための手法を開発する。

構成メンバー

渡辺 賢治代表 環境情報学部教授:代表、漢方医学、東西医療
古谷 知之 総合政策学部教授:データ解析
村井 純 環境情報学部長・教授:インターネット
國領 二郎 総合政策学部教授:経営情報システム
池田 靖史 政策・メディア研究科教授/環境情報学部教授:建築・都市設計
秋山 美紀 環境情報学部准教授:健康・医療に関するコミュニケーション
玉村 雅敏 総合政策学部教授:食のデザイン、地域活性化
植原 啓介 環境情報学部准教授:コンピュータネットワーク
中澤 仁 環境情報学部准教授:コンピュータネットワーク
宗形 佳織 SFC研究所上席所員:漢方、薬膳、鍼灸
鈴木 寛 政策・メディア研究科教授 / 総合政策学部教授:ソーシャルイノベーション
半田 義行 神奈川科学技術アカデミー 教育センターグループリーダー、SFC研究所上席所員
梅田 智広 奈良女子大学社会連携センター特任准教授、SFC研究所上席所員
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