ファブ・シティー・コンソーシアム

Fab City Consortium

※本コンソーシアムは終了しました。掲載の情報は終了当時のものです

代表者
田中 浩也
環境情報学部准教授
連絡先
慶應義塾大学SFC z104室「ソーシャル・ファブリケーション・センター(通称)」

目的

社会はますます複雑化、多様化しており、不透明さを増してきている。

そのようななか、利害関係を超えて多様なアクターが集まり、個々の自発性と個性を大切にしながら、「対話」と「試作」を繰り返すことで、新たな問題発見の糸口や、創造的なインスピレーションを得る活動が増えてきている。そうした活動の多くが、企業、自治体、市民、大学の垣根を越えた、新しい主体による当事者性あふれる恊働によるものでもある。本コンソーシアムは、いままさに生まれつつある上述のような新しいタイプの創造的活動の芽を育て、技法・方法論として確立することを目的とする。

「対話」と「試作」が融合したプロジェクトを切り盛りするには、(1) 異なるニーズをもつ多様な市民を包摂しつつ、包括的にサービスデザインを捉えるためのファシリテーション技術 (2) 複数の異なる活動の舞台となり、多目的かつ柔軟にプロトタイピングなどに活用できるファブリケーション施設、の2つのイメージを確立することが重要である。さらに、ファシリテーション技術とファブリケーション施設を一体のものととらえ、必要に応じて足りないものを自らデザインしたり、有効につかいこなすことのできる新しいリテラシーも要求される。

本プロジェクトでは、現在生まれつつある「種」としての、オブザベーション、フィールドワーク、デザインシンキング、人間中心設計、インクルーシブデザイン、ソーシャルデザインといった「技法」群、また、フューチャーセンター、ファブラボ、テックショップ、ものづくりカフェ、the HUBといった「施設」群を具体的に検証し、それらを整理して編みなおすことで、単なる海外のコピーではない、我が国特有の文化的慣習に根ざした「技法+施設」を生みだすことを試みる。

さらに、問題発見から創造的問題解決に至るまでのリアルプロジェクトを実際に走らせてみることで、われわれが生みだした「技法+施設」のフィージビリティスタディーとし、その有効性を個別にも実践、検証、アーカイブ化する。

本コンソーシアムの目に見える研究成果は、
(1) 独自の「技法+施設」のアイディアと、その設計や切り盛りに関する知識・ノウハウのアーカイブ化
(2)リアルプロジェクトにおける個別の成果物の創出と、そのプロセス検証
であるが、本研究には、こうした場をうまく切り盛りできる人材の育成の観点も多分に含まれており、
(3) 多様な利害関係者を巻き込むファシリテーション能力をもつ人材育成
も成果として挙げられる。このような人材は、企業からも、自治体からも、学校からも、あらゆる角度から必要とされている。

本コンソーシアムの未来ビジョンとして、プロジェクトに携わった研究員や学生が、近い将来に日本中に散開し、それぞれの場所・土地で適した施設を自ら立ち上げ、そこに多様なアクターを招き入れて、創造的な問題解決プロジェクトを切り盛りしているという像がある。その未来ビジョンの実現に向けて、必要とされる知を、生みだしていく。

研究活動計画の概要(1年目)

春学期
既存の技法群+施設群の調査・検証(ver1)
ソーシャル・ファブリケーション・ラボ(z104)を実験場とした施設計画(ver1)
オブザベーション、アイディエーション、ファブリケーション技法の共有(ver1)
秋学期
海外からの招聘ワークショップの開催(ver1)
リアルプロジェクトの実施(まちづくり系、インクルーシブデザイン)(ver1)
技法群+施設群のアイディアのまとめ(ver1)

構成メンバー

田中 浩也代表 環境情報学部准教授:ファブリケーション環境開発
加藤 文俊 環境情報学部教授:オブザベーション技法構築
水野 大二郎 環境情報学部専任講師:アイディエーション技法構築
古谷 知之 総合政策学部准教授:移動型ファブラボの研究、まちぐるみのものづくりの研究
筧 康明 環境情報学部准教授:オープンソースデザインの研究、デザイン支援ツールの研究
戻る
研究者
研究所に
寄付をする