アンワイヤード研究コンソーシアム

Unwired Research Consortium

※本コンソーシアムは終了しました。掲載の情報は終了当時のものです

目的

“場所への情報配信”と“場所からの情報収集”を実現することができるオープンアーキテクチャの無線ネットワークの構築および、それを利用したアプリケーションと社会的インパクトについて実ネットワークを用いて研究する。

背景

インターネットや移動通信の発展により、情報を広く公開したり、情報のありかを検索したり、個人と個人を接続することは、20年前は言うまでもなく、たとえば5年前と比較しても飛躍的に容易に、かつ安価にできるようになった。場所に関わらず電子メールをやりとりすることはできるし、携帯電話は、相手が世界のどこにいるかがわからなくともかけることができる。これは、通信の目的地を“人”と定義し、その人がいる場所や、状況とは関係なく通信を成立させようとしてきた“個”指向(いつでも、どこでも、誰とでも)の技術開発が追い求めてきたひとつの未来図である。デジタルデバイド解消などの目標に向けた施策も、この理想の実現に向けて行われている。そして、遠くない未来に目標は達成されるのであろう。では、それだけでよいのだろうか。足りないピースはないのだろうか?

都市部ではブロードバンドゼロは解消されているにも関わらず、日々の生活でパソコンや携帯電話を手にとってもわからないことやできないことはたくさんある。たとえば居室に忘れた書類を誰かに読み上げてもらいたい時、隣の居室に“今”いる人を誘って食事に行きたい時にPCや携帯は役に立たない。次に来るバスがすでに満員で乗れないのか、通勤途中で行き過ぎる店舗の中で前から欲しかったものが安売りしているのかも知ることはできない。湘南台で慶応行きのバスを待っている行列があるのかどうかも行って見なければわからない。個へのコミュニケーションはもちろん大切だし、今後も必要だ。しかし、それとは別に、我々には場所(あるいは場所にあるという条件の人・モノ)へのコミュニケーション手段が必要なのである。

こうした場所へのコミュニケーションは無線通信をうまく使いこなすことで実現できる。無線通信では電波が到達する範囲内にあまねく情報を配信、収集することができる。技術的なチャレンジはたくさんあるが、無線通信をネットワーク技術と組み合わせ、地理的に隙間なく配置できれば、場所へのコミュニケーションが実現できる。広域の無線ネットワークは従来、通信キャリアが端末から無線装置、ネットワーク、場合によってはアプリケーションも含む垂直統合モデルで提供してきた。しかし最近、オープンアーキテクチャで実現できる国際標準が作成され、電波法令が整備され、製品を使うことができるようになっている。この分野を先導するにはよい時期である。技術的な問題を解決することに加えて新しいコミュニケーションモデルによって実現できる新しいアプリケーション・ビジネスモデル、”場所”をエンドポイントとすることによって避けることのできないデータ所有の問題やプライバシー、持続可能なインフラの構築などの社会的インパクトについても研究が必要である。

以上が研究コンソーシアムの目的であり、それに至った背景である。SFC研究所ではすでにオープン無線プラットフォーム・ラボを結成している。本コンソーシアムは実ネットワークを用いて、技術的、社会科学的な研究を行う企業・自治体への窓口として設置する。

研究活動計画の概要

  • 技術的な検討を行うオープンアーキテクチャWGと、社会的インパクト、ビジネスおよびアプリケーションについて検討する社会とアプリケーションWGで、オープン無線ネットワークへの要求条件を明確化する。また机上検討や、閉域での無線を使った実験によって実ネットワーク運用時の予備実験等を行う。
  • 実ネットワークを用いた機器の接続試験、性能試験を実施
  • “場所”のコミュニケーションを実現するネットワーク技術に関する研究
  • 地域コミュニケーションに関する予備実験
  • エリア情報の所有権と共有に関する検討
  • 地域情報の共有による地域の安全・安心・便利に関わる実験
  • 情報プラットフォームサービスの研究および実験

活動期間

平成20年11月1日から平成24年3月31日

研究担当者

■ オープンアーキテクチャWG:
オープンアーキテクチャで無線ネットワークを構築する手法、性能評価方法、プロビジョニングに関する研究と無線アクセスを利用することにより、場所と場所を結びつけることを指向したネットワーキングに関する研究

担当者名 所属
三次 仁 環境情報学部准教授
小檜山 賢二 名誉教授

■ 社会とアプリケーションWG:
オープンアーキテクチャで無線ネットワークインフラを構築することによって生み出されるアプリケーション、社会的インパクトおよび、持続可能なインフラ構築方法、サービス連携に関する研究

梅嶋 真樹政策・メディア研究科特任講師

担当者名 所属
國領 二郎 総合政策学部長・教授

構成メンバー

村井 純代表 環境情報学部長・教授
中村 修 環境情報学部教授
國領 二郎 総合政策学部長・教授
小檜山 賢二 名誉教授
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