ヘルシーエイジング・ネットワーク・ラボ

Healthy Aging Network Laboratory

開設2023年4月1日
代表者
新井 康通
看護医療学部・教授
連絡先
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
E-mail:yasumich[at]sc.itc.keio.ac.jp

■背景・目的

【背景】地球規模の人口高齢化に起因する問題は医療・介護・年金などの社会保障システムの持続可能性のみならず、労働力の低下、経済成長の鈍化など社会全体に及んでおり、とりわけ経済的発展段階にある中で高齢化を迎えるアジア諸国では深刻である。

日本は世界の高齢化のフロントランナーとして介護保険制度の導入や、地域包括ケアシステムによる医療・介護のシームレスな提供体制の整備により超高齢社会への対応をリードしてきた。

しかし、医療・介護保険制度や文化的背景の違いから、こうした優れた高齢化対策を導入できる国は少なく、日本の知恵をいかにして国際社会へ、とりわけ高齢化の進行が急速に進む近隣アジア諸国へ発信し、各国がより良い高齢社会を作ることへの国際貢献が求められている。

 

【これまでの取り組み】

研究代表者の新井は、シンガポール国立大学(NUS)のKoh教授と共同でAMED-ASTAR戦略的国際共同研究プログラム(SICORP)の採択を受け、要介護の原因であるフレイル・サルコペニア、認知症、循環器疾患の予防に焦点を当てた超高齢者コホート国際連携研究を立ち上げ、人種や文化・生活習慣の違いを超えて普遍的に健康寿命に関連する要因の特定を目指している。

藤屋・深堀は、ウルチ大学(韓国)、復旦大学(中国)を含む5か国の看護学生が参加する国際看護実践を通じ、アジアにおける医療・看護領域の人的ネットワークを構築している。

冨崎は多世代交流による地域の高齢者の心身の健康増進を目指した研究を通じ、調査フィールド、研究者ネットワークを構築している。

大澤はNIA(米国)で4年間にわたって高齢者疫学研究に参加し最新の統計解析技術、データマネジメントの専門知識を得、NIAチ―ムとの人的ネットワークを築いている。

小熊は自治体と連携して、コホート研究成果を市民の身体活動・運動の促進につなげる社会実装(ふじさわプラス・テンプロジェクト)を展開し、介護予防事業の推進にも貢献している。

 

【目的】

構成メンバーが有するコホート資源、社会実装フィールド、国際ネットワークを有機的に連結・活用することにより、科学的介護の推進を支える新しい高齢者疫学知見を創出し、国連が提唱するAge friendly city network、高齢者のアシスティブ・テクノロジー開発や介護予防プログラムへの示唆を与え、世界の高齢化対策、とりわけ家族介護、Aging in placeが基本となるアジア地域の高齢化対策に取り組むさまざまなステークホルダーの活動に大きく貢献することを目的とする。

2023年度の活動を踏まえ、2024年度JSPS研究拠点形成事業(先端拠点形成型)に申請し、研究活動の資金を得る。具体的な目標を以下に挙げる。

  1. 国際高齢者コホート連携を進め、日本のみならず各国の高齢者コホートでも再現される健康増進・介護予防に資する生活習慣・社会環境因子の同定
  2. 1)の知見に基づく地域社会における実証研究の推進
  3. 1)2)の成果に基づく介護予防サービスの事業化、自治体による高齢者施策への提言
  4. 上記の研究・実証活動を通じた若手人材育成、国際交流

 

 

研究活動計画の概要

1年目
  1. NUS医学部、看護医療学部の教員との国際共同会議を行い、具体的な共同研究の内容、研究費申請について協議を行う。
  2. 大澤が米国NIAを訪問し、具体的な共同研究の内容、研究費申請について協議を行う。
  3. JSPS研究拠点形成事業(先端拠点形成型)の申請を行う
  4. コホート連携、データ解析
2年目
  1. NUSまたはウルチ大学でフォローアップ会議
  2. コホート研究成果報告、国際学会での報告、論文執筆
  3. 地域での社会実装
3年目
  1. 国際学会での合同シンポジウム企画
  2. 成果論文の発表

構成メンバー

新井 康通代表 看護医療学部・教授
研究全体の総括、NUS との連絡、共同研究の実施、倫理申請
深堀 浩樹 看護医療学部・教授
研究計画立案、看護医療学部国際交流委員会との連絡・調整
藤屋 リカ 看護医療学部・准教授
研究計画立案、ウルチ大学、復旦大学との連絡、共同研究の実施
冨崎 悦子 看護医療学部・専任講師
研究計画立案、多世代交流についての共同研究の実施
大澤 祐介 健康マネジメント研究科・准教授
研究計画立案および米国NIAとの連絡、共同研究実施
小熊 祐子 スポーツ医学研究センター・准教授
研究計画立案およびNUS との連絡、共同研究の実施

※構成メンバーの所属・職位および本ページに記載の内容は、本団体設立当時のものも含まれます。ご了承ください。

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