測量作業の能率は使用する機材、目的とする縮尺や精度によって変わってくるほか、特に従来のような測量機器では作業員の熟練度や作業方法などにも大きく影響を受けることになり、簡単に比較することはできない。今回は従来の方法による測量作業を行っていないので、定量的に効率性に関する分析を行うことはできないが、作業内容について比較を行いたい。
一般に考古学の現場における測量では、水糸などを現場に張ってグリッドを切って巻尺で計測していくような作業が必要であり、その準備作業だけでも多くの時間や人手を必要とする。測量機器を用いる場合は、トランシットで角度を測り、巻尺や光波距離計で距離を測るという組み合わせで測量を行うことが一般的である。最近は、これらが一つになってコンピュータ制御されているトータルステーションを用いることも多い。いずれの場合にせよ、このような従来の測量機器では「点」ごとの座標を取っていることになる。このような測量ではすべての点を測量し終わるまで現場を離れることは出来ない。線画図面の作成は、この「点」どうしを手作業で緻密につないでいくことで行う。この製図作業は現場でのデータ取得をした後、夜間などに行われることが多い。このような測量、製図の作業は複雑であり、オペレータには技術力や知識が要求されてくる。
それに対して、本システムでは現場での作業はシステムの設置と写真撮影だけであるので非常に短くて済む。写真では「面」的にデータを取得できるので、データ取得にかかる時間も大幅に削減される。取得したデータをもとに実際に測量をしたり製図する作業は、現場で行ってその場で表示することも可能であり、後で行うこともできる。
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