ME-BYOハウスコンソーシアム
ME-BYO House Consortium
※本コンソーシアムは終了しました。掲載の情報は終了当時のものです
開設 | 2019年4月1日 |
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代表者 |
植原 啓介
環境情報学部 准教授 |
連絡先 |
■背景・目的
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスでは、神奈川県が推進するME-BYOのコンセプトに基づき、2015年度から2017年度の間、神奈川県の委託研究の中で、居住の中で未病を発見し、改善できる住環境を構築すべく、「ME-BYOハウス」に関する研究を進めてきた。2018年度からは、企業とともに引き続き「ME-BYOハウス」の可能性について検討するため、研究費の発生しない共同研究を締結した上で研究のフレームワークを定める活動を行ってきた。その結果、活動を延長し、引き続き検討を進めることとなった。
我が国においては、第5期科学技術基本計画において「Society 5.0」を目指すことが提唱され、IoTの推進やAIの導入により、新たな価値を築いていく社会を目指していくとされている。このような流れは、国が提唱するまでもなく、現在の情報化の流れの先に必然として現れる社会である。
健康医療分野もこのような潮流には逆らうことはできず、様々なデータの収集、共有、解析基盤の開発・導入が進んでいる。現在、我が国では受診率は振るわないと報告されているものの、それでも多くの人が一般健診、特定健診、検診などを受診しており、定期的に健康データは収集されている。しかし、その頻度は1回/年程度に留まっている。また、このような健康データは身体のみに着目したものであり、飲酒・喫煙などを除く生活習慣データは基本的に含まれていない。このことは、医療分野における研究にも限界をもたらしている。通院している場合には処置の効果を計測することができるが、通院していない者の状況を把握することは難しく、対比ができない状況にある。
個人による健康データの収集にも限界がある。現在、健康データを計測するための機器は比較的簡単に入手できる。また、近年の技術の進歩により、これらのデバイスはIoT化されつつあり、インターネットを介して健康データをクラウドに蓄積するようになってきている。しかし、個人のレベルではこれを活用するのが難しく、その効果を確認できないため、爆発的普及の段階には達していない。
そこで、本研究では、日常生活において健康データを収集する仕組みと、それを活用するプラットフォームの構築を目的とする。
現在、健康データや生活習慣データは体系的に収集しなければ活用が難しいにもかかわらず、様々な計測機器が存在しており、体系的に健康データを収集することは個人にとっては難しい。また、現在でも個人による健康データの収集は可能であるが、その健康データを知恵のレベルまで昇華させ、活用できる個人は少ない。更には、データを取得したとしても、計測機器が提供している付属サービスは健康医療目的のものに限られており、個人レベルでの活用が難しい。
企業にとっても健康データ分野への参入は難しい現状がある。現在、健康サービスや健康データを使ったその他のサービスに参入しようとしても、データの収集・入手から、サービスの構築・提供までがセットになっているためである。
このような問題の解決に資するべく、生活の拠点である「家」を中心とした健康データの収集システムと、そこで得られた健康データの流通システムを開発し、フィージビリティを検証する。開発するシステムにおいては、家に設置される様々なベンダーの機器から収集したデータや属する会社などによって実施された健康診断のデータ、病院などの検診で得られたデータを健康データプラットフォーム上に提供し、別のサービスプロバイダが健康サービスを構築・提供できるような環境を実現する。
■研究活動計画の概要
<第1段階>
【実験計画の立案と準備】
学生寮や高齢者向け住宅を想定した実験計画を立案する。また、それに向けて実験環境の準備や開発などを進める。
【システム開発】
健康データを収集するためのハウスインターフェイス、健康サービスを支援するためのハウスインターフェイスを開発するとともに、IFTTTなどのIoTプラットフォームを流用した簡易プログラミング環境を開発する。
【実験準備とPoC】
実際にME-BYOハウスとして活用できる住居を用意し、健康データ計測機器や健康情報フィードバックのための機器、スマートデバイスなどを設置し、実験の準備をおこなう。また、研究者による宿泊などを通して、Proof of Conceptを実施する。
<第2段階>
【実証実験】
用意したME-BYOハウスに実際に参加者を募って実際に居住してもらい、設置した機器をつかって生活をしてもらう。また、その中でアンケートを取るなどして、提供したシステムが健康に資することができたかなどの評価をおこなう。
【システム改良】
引き続きシステムの改良を重ね、より使いやすいME-BYOハウス機器の開発を継続する。開発したものは適当なタイミングでME-BYOハウスに実装する。
【解析】
取得したデータの解析をおこない、システムの挙動を明らかにする。また、システム改良に必要な要件を明らかにする。
構成メンバー
植原 啓介代表 | 環境情報学部 准教授 代表、システム開発 |
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田中 浩也 | 環境情報学部 教授 アドバイザー |
矢作 尚久 | 政策・メディア研究科 准教授 医療 |
大越 匡 | 政策・メディア研究科 特任准教授 システム開発・実証 |
川本 章太 | 政策・メディア研究科 博士課程 システム開発・実証 |