Transpublishing
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※本コンソーシアムは終了しました。掲載の情報は終了当時のものです
本コンソーシアムでは、次の2つの開発を行います。
1. ネットワーク上での容易なコンテンツ出版とその再利用に伴う著作権の自動的処理を可能とするHyper Transaction System(HTS)の実用化に向けた改良
2. 複雑に相互関連する情報をパソコンや移動体機器上で合理的に処理し表示するのに適した新たな基盤としての多次元データ構造「ZigZag」の応用
参加組織数 | 2 |
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背景
- ネルソン氏がXanaduプロジェクトで提案したトランスコピーライト方式は、ネットワーク上の出版および再利用(トランスクォーテーション)を可能とするものです。ウェブのハイパーリンクはこれを参考として開発されましたが、著作権処理ができないのが致命的な欠陥であり、ウェブ上で著作権許諾を行うシステムの実現が求められます。
- ネットワーク環境で様々なマルチメディア情報を相互に関連付けて蓄積し、アクセスし表示し処理するためには、多様で柔軟なデータ構造が必要ですが、Windowsとウェブの上でそれを実現するのは困難でした。例えば現在主流となっているリレーショナルデータベースおよび表計算ソフトは、行(アトリビュート)と列(ダブル)からなる2次元構造の処理に適していますが、現実社会で取り扱う情報の中には、2次元構造で取り扱うのには適さないものが多数存在します。そのような複雑な情報の相互関連を合理的に取り扱うためには、2次元構造を拡張し多次元のデータ構造を基盤とするシステムの実現が必要です。ネルソン氏の提案する「ZigZag」はこのための基盤となるものです。
特徴
- トランスコピーライト方式は、HTMLにトランスクォーテーション用タグ機能を追加し、著作権許諾条件の記述を行うことにより、原著作物の再利用を可能とします。開発済みのハイパーコイン方式は、2レベル認証方式により、セキュリティ保護と支払コストのバランスを実現するのが特徴です。
- ZigZagは、表計算ソフトのような2次元構造を拡張し、多次元のデータ構造を取り扱うことができる点に特徴があります。
課題
- トランスコピーライト方式の著作権処理を実用化するためには、HTSV.1で実現したトランスクォーテーションのユーザインタフェースの改良、性能向上、マイクロペイメント方式との結合方法の改良等の改善を行う必要があります。同時に、これを利用した典型的なビジネスモデルの明確化が必要です。
- ZigZagの可能性をビジネスに応用するためには、応用例を探索し実証することが重要です。また、多様な情報を、目的に応じて適切な方法で画面に表示する機能を含め、ZigZagのアプリケーション環境を開発することが必要です。
活動状況
- トランスコピーライト方式の基本システムは、通産省予算に基づく「ハイパートランザクションシステム」によって開発し、フリーソフト(HTSV.1)として公開済みです。現在、そのユーザインタフェースの改良を進めています。
- ZigZagの中核部のプロトタイプ版(GZZ)は、フィンランドで作成され公開されています。これを、特許情報、カリキュラム情報等の多次元構造化に応用する実験を進めています。
予想される成果
- トランスコピーライト方式とハイパーコイン方式を結合することにより、電子商取引の一環として誰でもコンテンツをネット上に出版しその利用者から代金を受け取ること、ならびにその再利用を容易にするany-to-anyの取引形態に最適の方式として、実用化が期待できます。応用分野には、マルチメディア教材、学会等の電子出版、法律情報、旅行・地域情報、ニュース情報等、幅広い応用が考えられます。
- ZigZagは、パソコンや携帯機器で取り扱うデータをセンターのコンピュータ上のデータと有機的に結合して検索利用するための新しいプラットフォームとして、大きく発展することが期待できます。その応用例は、特許情報を始めとする技術情報の相互関連の体系化、携帯電話による情報アクセス、プロジェクト管理、系譜学、歴史学、各種教材、医学情報等今後の拡大が期待できます。
構成メンバー
苗村 憲司代表 | 政策・メディア研究科教授 |
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大岩 元 | 環境情報学部教授 |