1998年度森基金研究育成費(修士課程)報告書

「3次元測量システムの開発とアンコール遺跡での利用」

慶應義塾大学 政策・メディア研究科修士 米村征洋

背景と目的
システムの特徴
GPS
トータルステーション
デジタル写真測量
システムの構築
アンコール遺跡での利用
計測結果の出力
システムの評価
まとめ


概要

まちづくり、文化財修復、ナビゲーション、施設管理などのさまざまな場において3次元の地理空間データに対するニーズが高まっている。しかし、このような3次元のデータを「取得する」という点では、技術面でもコスト面でも困難が多いのが現状である。その一方で各種のレーザやセンサなどの新技術を利用した計測機器が開発されつつあり、これらの技術を組み合わせて利用することで、効率的かつ高精度にデジタルで3次元データを取得できる見込みが出てきた。

そこで本研究では、リアルタイムに2cm精度の位置取得ができる「RTK-GPS」、対象物上に反射板(プリズム)が無くても3次元位置の測量ができる「ノンプリズム型のトータルステーション」、高解像度の「デジタルスチルカメラ」による写真測量の技術を統合することで、3次元計測できるシステムを開発した。データ取得時にデジタル写真を撮影しているため、Photo Realisticなシュミレーションに必要となるデータを取得することもできる。また、開発したシステムは従来の方法と比べて、同程度以上の精度を保ったまま効率性を高めることができる。データの取得、計測といった流れはすべてデジタル化されており、結果はリアルタイムに直接GISCADに統合することが可能になる。

構築したシステムはカンボジアのアンコール遺跡で利用し、遺跡の修復に必要な現況図面を作成し、そのデータ取得精度や効率性の面での検証を行なった。